世界トップレベルで戦うには強力な武器が必要になる。テニス雑誌『スマッシュ』編集部では、これを「ザ・グレートショット」と名付け、長きにわたり日本テニス界をけん引してきた元日本代表の鈴木貴男プロにそのすごさを解説してもらった。今回は今年の全仏オープン準優勝者、キャスパー・ルード(ノルウェー/世界ランク7位)の登場だ。
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クレーコートに強い選手で7月のスイス・オープンを含む通算9勝のうちクレーで8勝をマーク。6月の全仏オープンでは準優勝を飾った。「右利きのナダル」と言ったらオーバーかもしれないが、それに近いレベルのパワーを備えている。とりわけ彼のフォアハンドストロークの破壊力は抜群。まさに「グレートショット」と呼ぶにふさわしい最大の武器と言えよう。
それでは、順にスイングを追っていこう。
まずテイクバックだが、ラケットを後方に引くのではなく、ラケットに添えた左手と一緒に上半身を軽くひねって完了させている。一般の方はラケットが一番後ろに引かれた時がテイクバックだと思いがちだが、正しくは手を後方へ引くのではなく、上半身をひねることだ。
前に出された左手は脇を閉めるように徐々に自分の方へ引き寄せて行く。これにより身体が早く開き過ぎないように抑えている。左手にある程度力が入っている状態なので、顔を残してしっかりとボールを見て身体の軸もぶれていない。
上半身のひねり戻しと強靭な脚力を使い、軽くジャンプしながら打点へと向かっているが、両足が地面から離れた状態でも身体の軸は真っすぐに立っている。また、ジャンプはしていても決して上への動きが大きすぎないから頭の位置もさほど変わらない。そのため軸を中心にしっかりと前に向けてスイングできている。
スイングの際に回転軸がブレていると、いくらスイングスピードを速くしようとしても力が入らない。また、通常これだけ強打したらコートに収めるのは難しいが、フィニッシュではナダルのようにラケットを大きく振り上げている。だからしっかりとスピンがかかり、アウトせずにコートに収まる。
一般プレーヤーではルードのような強烈なフォアハンドを打てないが、こうした身体の使い方は参考になるはずだ。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2022年6月号から抜粋・再編集
【連続写真】安定感抜群の回転軸が生み出す、C・ルードの「必殺フォアハンド」!
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クレーコートに強い選手で7月のスイス・オープンを含む通算9勝のうちクレーで8勝をマーク。6月の全仏オープンでは準優勝を飾った。「右利きのナダル」と言ったらオーバーかもしれないが、それに近いレベルのパワーを備えている。とりわけ彼のフォアハンドストロークの破壊力は抜群。まさに「グレートショット」と呼ぶにふさわしい最大の武器と言えよう。
それでは、順にスイングを追っていこう。
まずテイクバックだが、ラケットを後方に引くのではなく、ラケットに添えた左手と一緒に上半身を軽くひねって完了させている。一般の方はラケットが一番後ろに引かれた時がテイクバックだと思いがちだが、正しくは手を後方へ引くのではなく、上半身をひねることだ。
前に出された左手は脇を閉めるように徐々に自分の方へ引き寄せて行く。これにより身体が早く開き過ぎないように抑えている。左手にある程度力が入っている状態なので、顔を残してしっかりとボールを見て身体の軸もぶれていない。
上半身のひねり戻しと強靭な脚力を使い、軽くジャンプしながら打点へと向かっているが、両足が地面から離れた状態でも身体の軸は真っすぐに立っている。また、ジャンプはしていても決して上への動きが大きすぎないから頭の位置もさほど変わらない。そのため軸を中心にしっかりと前に向けてスイングできている。
スイングの際に回転軸がブレていると、いくらスイングスピードを速くしようとしても力が入らない。また、通常これだけ強打したらコートに収めるのは難しいが、フィニッシュではナダルのようにラケットを大きく振り上げている。だからしっかりとスピンがかかり、アウトせずにコートに収まる。
一般プレーヤーではルードのような強烈なフォアハンドを打てないが、こうした身体の使い方は参考になるはずだ。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2022年6月号から抜粋・再編集
【連続写真】安定感抜群の回転軸が生み出す、C・ルードの「必殺フォアハンド」!