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海外テニス

「1回戦で負けるかと」故障で152位に下がった元12位のチョリッチがマスターズ初優勝を果たす<SMASH>

中村光佑

2022.08.22

右肩を手術し今年3月にツアー復帰したチョリッチが快進撃を見せて優勝。(C)Getty Images

右肩を手術し今年3月にツアー復帰したチョリッチが快進撃を見せて優勝。(C)Getty Images

 男子テニスツアー「ウェスタン&サザン・オープン」(8月14日~21日/アメリカ・シンシナティ/ハードコート/ATP1000)は現地8月21日にシングルス決勝を実施。元世界12位のボルナ・チョリッチ(クロアチア/現152位)が第4シードのステファノス・チチパス(ギリシャ/7位)を7-6(0)、6-2のストレートで下し、マスターズ初優勝を飾った。

 昨年5月に右肩を負傷した25歳のチョリッチは、同箇所の手術を経て今年3月にようやく復帰。プロテクトランキング(負傷長期離脱者に対する救済措置)で出場した今大会は2回戦で元世界王者のラファエル・ナダル(スペイン/現3位)を破るなどケガ明けとは思えない快進撃を見せ、2018年の上海オープン以来実に4年ぶりとなるマスターズ決勝へと駒を進めていた。

 迎えた決勝戦は序盤からフォアハンドを起点に攻めてくるチチパスに第1ゲームから3ゲームを連取される苦しい展開に。それでも徐々にストローク戦でリズムをつかみ、第7ゲームでブレークバックに成功。そのままタイブレークに突入すると、ここではチョリッチが1ポイントも与えない完璧なプレーで第1セットを奪取した。

 第2セットでは勢いに乗るチョリッチがストローク戦で主導権を確保。第6、8ゲームでブレークを奪い、1時間57分で勝利を収めた。
 
 カムバックから程なくして四大大会に次ぐマスターズで見事な復活優勝を成し遂げたチョリッチ。だが実際には精神的に苦しい部分も多々あったようで、試合後の表彰式では初めに「今大会は1回戦で負けるかと思いました」と話した。

 その後「ステファノス、決勝戦で素晴らしいプレーを見せてくれてありがとう」と準優勝に終わったチチパスを称えたチョリッチは「シンシナティは2年ぶりでしたが、戻ってこられて本当にうれしいです」と感無量。最後には「皆さん本当にありがとう。ファンの皆さんにはなんと感謝の言葉を述べていいのかわかりません。クロアチアから来てくれたファンにも気付いていました。家族やチームスタッフにも感謝を捧げます」と声援を送ってくれた人々への謝意を示した。

 一方、ハードコートでのマスターズ初優勝を逃したチチパスも「ボルナ、優勝おめでとう。見事なケガからのカムバックだと思います」と素直に勝者のチョリッチを称賛した。

 長らく苦しい時期を送ってきた中で初のビッグタイトルをつかみ取ったチョリッチ。間もなく開幕する年内最後のグランドスラム「全米オープン」(8月29日~9月12日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)でも数々の強敵を破って勝ち進んでほしい。

文●中村光佑

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