海外テニス

ベラルーシの元世界女王アザレンカ、全米オープン会場で開催の「ウクライナ支援イベント」から除外<SMASH>

中村光佑

2022.08.25

ウクライナ支援イベントに参加予定のアザレンカ(ベラルーシ)だったが、ウクライナ選手の強い反発により出場が取り消された。(C)Getty Images

 ベラルーシ国籍で元世界女王のビクトリア・アザレンカ(33歳/現26位)が、ウクライナ支援を目的とした現在開催中のチャリティマッチ「Tennis Plays For Peace」(平和を実現するためのテニス)の参加を取りやめたことが明らかになった。

 ウクライナの独立記念日とロシアの侵攻開始からちょうど半年にあたる現地8月24日に全米テニス協会(以下USTA)が開催した今回のチャリティマッチは、間もなく開幕する全米オープンの「ルイ・アームストロング・スタジアム」で行なわれている。これにはロシアの軍事攻撃を支援するベラルーシ出身のアザレンカも参加選手のラインナップに含まれていたが、マルタ・コスチュク(女子72位)をはじめとしたウクライナ人選手の反対の声を受けて出場を辞退した。

 コスチュクは先日母国のテニス専門メディア『BTU』で「侵攻国の選手が参加するなら、私は今回のチャリティマッチでプレーをしない」と発言。さらには「今回の戦争について公にどのようなスタンスをとっているかを聞いたことがない彼女が、私たちと話をすることもなく親ウクライナのイベントに顏を出すなんて理解できない」とアザレンカを糾弾していた。

 テニス系海外メディア『UBITENNIS』によると、同じくウクライナ人女子選手のレシア・ツレンコ(89位)もチャリティマッチの開幕前に行なわれた記者会見で「アザレンカの参加が確定していると知った時、多くのウクライナの人と話をした。みんなショックを受けていて、彼女がこのイベントに関係していることが理解できなかったみたい。ウクライナの人々にとってそのことが間違っているということ、受け入れられないことだとUSTAに説明するために、様々な行動をとった」と告白。
 
 最終的にはアザレンカの参加が取り消されたことについて「どの主張がうまくいったのか、はっきりとは言えないが、うまくいってよかった」と素直に喜びを語った。

 なおUSTAは公式声明を通じて「慎重に検討し、すべての関係者と対話した結果、ビクトリア・アザレンカは、今晩行なわれる『Tennis Plays for Peace』に参加しないことになりました」と報告し、「我々は彼女の参加意欲を高く評価していましたが、ウクライナの選手に対する感性と現在進行中の紛争を考慮すると、今回の決定は私たちにとって正しい行動であると信じています」と説明している。アザレンカはチャリティマッチの出場を見送ったことについてまだコメントを出していない。
 
 ちなみに「Tennis Plays For Peace」にはココ・ガウフ(アメリカ)、ラファエル・ナダル(スペイン)、カルロス・アルカラス(スペイン)など男女の錚々たるスーパースターも参加しており、同チャリティマッチは全米の公式サイトにて配信された。イベントの収益金はウクライナ危機救済基金「GlobalGiving」に寄付される予定だ。

文●中村光佑

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