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「あいつはダメだと言われてきた」キリオスが幼少期に受けたハラスメントについて告白<SMASH>

スマッシュ編集部

2022.08.28

幼少期に不当な扱いを受けてきたと明かしたキリオス。(C)Getty images

 男子テニス世界ランク26位のニック・キリオス(オーストラリア)が、全米オープンを直前に控えたインタビューで、幼少期より受けてきたハラスメントについて語り、それをいまだに克服しきれていないことを明かした。

 アメリカのスポーツ誌『Sports Illustrated』のインタビューによると、今でこそ細身で筋肉質のキリオスも、幼少期は「少し太り気味の子どもだった」という。そのことで、多くのコーチやトレーナーから「あいつはダメだ」と不当な評価を受けてきたようだ。

「オーストラリア全土から同じような批判を受けてきた。人種差別も受けてきたよ。今でも自分の中には大きなしこりが残っている。今はもう傷ついたりはしないけれど、忘れてはいないよ」

 後にプロデビューを果たしたキリオスだが、前述のような難しい環境で育ってきたためか、少々荒々しいプレースタイルで目立つようになる。すると、今度はそのことで同郷のレジェンド選手たちからも厳しい目を向けられるようになってしまったという。

「オーストラリアの偉大なテニス選手たちが、僕に親身になってくれることはあまりなかったね。彼らが僕について話しているのを見るのはつらい。僕を批判することに病的な執着を持っているようで、嫌いなのか怖いのかわからないけれど、最悪だよ」
 
 そんなキリオスだが、ここ最近は批判を跳ねのけてキャリア最高レベルのテニスを見せている。先のウインブルドン準優勝に始まり、ATP500のワシントンで優勝、続くマスターズのモントリオールでも世界ランク1位のダニール・メドベージェフ(ロシア)に勝利した。

 とりわけウインブルドンでの活躍が注目されるが、キリオス自身は周囲からの注目度の高さと、プレーの好調さについて慎重な姿勢を見せている。

「ウインブルドンのせいで、毎回完璧なプレーをすることに固執しそうになっているんだ。少し自分に優しくなって、期待しすぎないようにしたい。グランドスラムで優勝すると、そのあと調子を崩してしまう選手がいるけれど、そうはなりたくないんだ」

 現地時間8月29日に開幕する全米オープンに第23シードとして出場するキリオスは、大会初日の1回戦で同郷の後輩であるタナシ・コキナキスと対戦する。ここ数カ月で一皮も二皮も剥けたキリオスが、ニューヨークでどのようなプレーを披露するのか注目したい。

構成●スマッシュ編集部

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