海外テニス

「今は家に帰りたい」全米4回戦でティアフォーに敗れたナダル。心身共に疲労で「今日は何もできなかった」<SMASH>

中村光佑

2022.09.06

第1シードのメドベージェフに続き、第2シードのナダルも4回戦で姿を消すことになった。(C)Getty Images

 テニス四大大会「全米オープン」は現地9月5日に男子シングルス4回戦を実施。元世界王者のラファエル・ナダル(スペイン/現世界ランク3位)は第22シードで地元勢のフランシス・ティアフォー(アメリカ/同26位)に4-6、6-4、4-6、3-6で敗れ、ベスト8進出を逃した。

 7月のウインブルドンで腹筋断裂のケガを負ったナダル。約1か月ぶりの公式戦復帰を果たした8月中旬のウェスタン&サザン・オープンでは初戦(2回戦)敗退に終わり、不安を残したまま今回の全米に臨んでいた。

 フィジカルコンディションが心配された中で何とかベスト16へ駒を進めたナダルだったが、この日の4回戦は序盤から母国ファンの大歓声を受けて好プレーを連発するティアフォーに苦戦。1度もブレークのチャンスをつかめないまま第1セットを落としてしまう。それでも両者サービスキープが続いた第2セットでは終盤の第10ゲームで値千金のブレークを奪い、セットオールに持ち込む。

 ところが徐々にショットに勢いを増すティアフォーから思うようにポイントを取れない展開が続き、第3セットを失って絶体絶命の状況に立たされる。迎えた第4セットでは第4ゲームで先にブレークを果たすも、直後の第5ゲームから5ゲーム連取を許し、4回戦敗退となった。

 過去4度の優勝を誇る年内最後のグランドスラムで2勝0敗と相性の良さを見せていたティアフォーに初黒星を喫したナダルは、試合後の記者会見で「自分は悪いプレーをして、彼(ティアフォー)は良いプレーをした。全米で準々決勝に進出したいなら、もっといいプレーをしないといけないことは明らかだ。でも今日は何もできなかった」と敗因を語った。
 
 実は先日ナダルの妻で現在妊娠中のマリア・フランシスカ・ペレロさんが体調不良によりスペイン・マヨルカ島の病院に入院していることが多くの海外メディアで報じられていた。ナダルは全米2回戦後の会見で「妻は元気だよ」と明かしていたが、やはり大会期間中も気が気でない日々を過ごしていたようだ。

「負けたばかりで目先のことを明確に分析するのが難しい状況だ。(それに)テニスよりも重要なことがある。今は家に帰りたい。この数か月は大変だった。今はリセットの時期だ」

 それでも最後には「言い訳を探す必要はない。全てがうまくいく時とそうではない時がある。今回はチャンスがなかった。僕もチャレンジしたけど、残念ながら勝つことはできなかった。ティアフォーを称えたい」とナダルらしい謙虚な言葉で今大会を総括し、インタビューを締めくくった。

 自身のケガに加え、奥様が入院したことでメンタルをコントロールすることが難しかったのは間違いないだろう。まずは心身ともにしっかりと休養をとってもらいたいものだ。

文●中村光佑

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