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フェデラーが現役引退を表明!「キャリアを終えるべき時がきた」栄光の歴史に幕<SMASH>

中村光佑

2022.09.16

数々の歴史を築いてきた“生けるレジェンド”ともいえるフェデラーが現役生活から退くことを明らかにした。(C)Getty Images

 衝撃のニュースに、世界中のテニスファンから悲しみの声が広がっている。

 現地9月15日、四大大会20度の優勝を誇る男子テニス元世界王者のロジャー・フェデラー(スイス)が自身の公式SNSを更新。9月23日から開催される男子テニス団体戦「レーバー・カップ」(イギリス・ロンドン/ハードコート)を最後に現役から退く意向を表明した。

 3歳でテニスを始め、ジュニアの頃から類まれな才能に恵まれたフェデラーは1998年にプロへ転向。2001年2月にイタリア・ミラノで行なわれたATP250の大会でツアー初優勝を飾ると、02年のハンブルク大会(当時はATP1000)でマスターズ初タイトルを獲得。03年のウインブルドンでグランドスラム初優勝を果たし、04年2月から08年8月まで237週連続で世界1位に君臨するという驚異的な記録を樹立した。また21年3月にノバク・ジョコビッチ(セルビア)に抜かれるまでは、フェデラーが史上最長となる1位通算在位期間310週を保持していた。

 四大大会で挙げた20勝のうち、フェデラーが最も得意としていたのがウインブルドンだった。同大会での優勝回数は8回で、これは現時点で男子テニス史上最多の数字だ。それ故に「芝の帝王」とも称されるが、その他のグランドスラムでも抜群の強さを発揮してきたことで知られる。

 09年の全仏オープンでは悲願の生涯グランドスラム(四大大会すべてを制覇すること)を達成。ATPツアーでも103度の優勝を経験したフェデラーがこれまでに戦ってきた試合数は延べ1500以上にも及ぶが、途中棄権をしたことは1度もなかった。

 だがここ数年は右ヒザのケガに悩まされ、昨年7月のウインブルドン準々決勝を最後にツアー大会には出場していなかった。度々完全復活への意欲を示してきた一方で、最近はキャリアの終焉にも言及することが徐々に増えていた。それでも「唯一無二」と言われるあの芸術的なプレーを再び見せてくれることを多くのファンが待ち望んでいたが、現実は厳しかったようだ。
 
 今回の投稿で「今日はあなたたちにあるニュースを伝えたい」と切り出した41歳のレジェンドは「この3年間はケガと手術という形で僕に試練を与えた」としつつも、苦渋の決断を下すその瞬間まで「完全にプレーできる状態になるよう必死に努力してきた」という。

 そのうえで「最近は身体が発するメッセージがはっきりしていた」と明かしたフェデラーは「キャリアを終えるべき時が来た。レーバー・カップが僕の最後のATPイベントになる。これからもテニスはプレーするが、グランドスラムやツアーには出場しない」と発表。

「ほろ苦い決断だ」と複雑な心境を綴りながらも「僕は41歳だ。24年もの間、1500試合以上を戦ってきた。テニスは僕が夢見ていたよりもずっと、自分に対して寛大だった。僕はツアーが自分に与えてくれた全てのことを恋しく思うだろう。でも同時に自分を祝福したい気分だ」と自身の輝かしいキャリアを振り返った。

 そして最後には妻のミルカ・フェデラーさんをはじめここまで支えてくれた人々へ向けて「心から皆様に感謝を申し上げたい」と言葉を綴り、「テニスへ。ずっとあなたを愛している。私は決してあなたから離れることはない」と締めくくった。

「もうロジャー・フェデラーのプレーが見られなくなる」…この現実を受け止められるテニスファンはそう多くはいないだろう。

文●中村光佑

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