国内テニス

現役引退の奈良くるみがイベントでファンと交流!「幸せな選手生活を皆さんのおかげで送れたと思います」<SMASH>

内田暁

2022.09.24

2日前に現役生活を終えた奈良くるみがトークショーとサイン会に出演してファンとの交流を楽しんだ(右端は土居美咲)。写真:滝川敏之(THE DIGEST写真部)

 東レパンパシフィックオープンの期間中であり、"テニスの日"でもある9月23日。今大会で現役生活に幕を引いた奈良くるみのトークショーおよびサイン会が、大会会場で開催された。イベントを主催したのは、ジュニア時代から奈良の用具をサポートし続けてきた、ダンロップ。同社のブースで大会使用ボールを購入した先着50名がサイン券をもらえるとあり、会場内のブースには朝から多くの人が詰めかけた。
 
 その整理券がもらえずともトークショーは聞けるとあり、有明コロシアムの東ロビーは、奈良が現れる前から人だかり。そんなファンにとってのうれしいサプライズは、ダンロップ契約選手であり、奈良の盟友である土居美咲も登壇したこと。土居に続いて温かな拍手で迎えられた奈良は、晴れやかな表情で充実のキャリアを物語った。

 競技者ではなくなった最初の日である前日には、選手仲間と食事をしたりと、のんびりとした一日を過ごしたという。ただ土居は、「くるみは引退した次の日も、テニスの試合を見ているんですよ」と、友人の微笑ましい一面を明かした。

 土居が、「本当にテニスが好きなんだなー」と感嘆するほどの奈良のテニスへの愛情は、ファンから質問を受け付けたトークショーでも発揮される。
 
 テニス少女からの「試合中にイライラしたら、どう対処していますか?」という質問には、「一番は、練習の時から気持ちの持っていき方を考えること」と極意を伝授。

「わたしもテニスをしているんですが、下半身はどうやったら強化できますか」という市民プレーヤーからの問いには、「オフシーズンはトレーニングに集中してきました」と自分の経験を語った後に、こう続ける。

「メディシンボールを使ったトレーニングが効果的。ラケットを持つと、どうしてもボールをコートに入れたいと思ってしまうので、メディシンボールを使って、理想の下半身の動きをくり返すのが良いと思います」

 全ての質問に明瞭に即答するその姿からは、小柄な彼女が、いかに日ごろから真摯にテニスと向き合ってきたかが伺えた。

 イベントの締めの挨拶では、「本当に幸せな選手生活を、皆さんのおかげで送れたと思います」と言うと、「やばいっ」と言葉につまって、涙ぐむ。

 それでも最後は明るい笑顔で、「コートで皆さんに会うことはなくなってしまうかもしれませんが、またテニスを通じてお会いしたいと思います」と、ファンに再会を約束した。

取材・文●内田暁

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