海外テニス

メドベージェフ対ジョコビッチの元世界1位対決が意外な幕切れ「もう無理だった」<SMASH>

中村光佑

2022.10.09

第2セットが終わった時点で棄権を申し入れたメドベージェフ。(C)Getty Images

 男子テニスツアー「アスタナ・オープン」(10月3日~9日/カザフスタン・ヌルスルタン/ハードコート/ATP500)は現地10月8日にシングルス準決勝が行なわれ、共に元世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現7位)とダニール・メドベージェフ(ロシア/現4位)が対戦。6-4、6-7(6)となった時点でメドベージェフが棄権を申し入れ、ジョコビッチが決勝へ駒を進めた。

 ツアー11度目の顔合わせとなったこの日の準決勝は序盤から両者が激しい打ち合いを展開。第5ゲームでメドベージェフが均衡を破るも直後の第6ゲームでジョコビッチがすかさずブレークバックに成功。第7ゲームで再びブレークを果たしたメドベージェフがそのリードを守り切り、第1セットを先取する。

 迎えた第2セットも息を飲む攻防が繰り広げられ、互いにサービスキープが続いてタイブレークへと突入。ここではジョコビッチが相手を左右に大きく揺さぶり、絶妙なドロップショットを連発してポイントを積み重ねる。重要な場面でのメドベージェフのミスにも助けられ、勝負の行方はファイナルセットへ。

 だが2人の元世界王者による大会屈指の好カードは、思わぬ形で終わりを告げた。セットオールに持ち込まれたメドベージェフがタイブレーク終了直後に突如棄権を表明。対戦相手のジョコビッチと握手を交わし、すぐさま会場を後にした。
 
 試合後の記者会見でメドベージェフはプレーを辞めた理由についてこう説明している。

「タイブレークの2ポイント目で、(脚の)内転筋から少し変な音がしたんだ。最初はけいれんなのかと思ったけど、そのポイントの後で、『いや、多分けいれんじゃない』って思った。あと5~10ポイントくらいはプレーできると思ったんだけど、もう無理だった」

 また「あと1セットやろうと思えばできるけど、無理してプレーを続けていたら1か月じゃなくて半年くらいは休むことになっていたかもしれない。今日勝っていたとしても決勝ではプレーできなかったと思う。タイブレークではとりあえずショットを打ってみようという感じだったからね」ともコメント。そして最後にメドベージェフは優勝に王手をかけたジョコビッチへ「決勝での彼の幸運を祈っているよ」とエールを送った。

 一方のジョコビッチは「彼がリタイアしたことに驚いたよ。彼は全く問題ないように見えたからね」とまさかの幕切れに困惑を隠せない様子を見せながらも、「彼は内転筋を痛めたと言っていた。このような形で終わってしまってただただ悲しい。大事に至らないことを祈っている」とメドベージェフの早期回復を願った。

 なお勝利したジョコビッチは先週の「テルアビブ・ウォータージェン・オープン」(イスラエル・テルアビブ/ハードコート/ATP250)に続く2週連続優勝を懸け、決勝で第3シードのステファノス・チチパス(ギリシャ/6位)と対戦する。

文●中村光佑

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【動画】メドベージェフ対ジョコビッチの元世界1対決のハイライト。棄権を申し入れるシーンも