テニスの日本チャンピオンを決める「大正製薬リポビタン 全日本テニス選手権97th」が10月23日に大会２日目を迎えた。昨年はブルボンビーンズドーム（兵庫）で行なわれたが、有明コロシアムおよび有明インドアコート（東京）に会場を戻し、３年ぶりに有観客で開催。この日は男女シングルス１回戦のうち各々６試合が実施された。

　男子では今大会を最後に現役から退くことを表明している仁木拓人がセンターコートの第１試合に登場。鈴木昂を６－０、７－５で破り２回戦へ駒を進めた。

「ラストの大会でコロシアムに試合を入れてもらい、緊張感はあると思ったがその緊張感の中でうまくいっても、いかなくても楽しめたらいいと思って臨んだ」という仁木。

　立ち上がりから高精度のサービスを軸に緩急織り交ぜたストロークで鈴木を揺さぶりミスを誘う。「思い切ったプレーができた」と振り返る第１セットは、６－０と相手に隙を与えずに奪ってみせた。

　だがこのまま進むと思われた第２セット、第４ゲームでブレークチャンスの逃すと、続く第５ゲームでは逆に鈴木にブレークを許す思わぬ展開に。するとそれまで決まっていたショットにも微妙なずれが生じ始める。だが、仁木は動じなかった。

「今までだったら、こうした状況になるとフラストレーションが溜まって乱れることもあったけど、今日は『全てを楽しむ』と考えてコートに入っていたので、そうした流れも受け止めることができた」という仁木は、２－４から一気に３ゲームを奪い返して離れかけていた流れを引き戻すと、さらにポイントを重ねて７－５で鈴木の追撃を振り切って勝利を手にした。

「自分のプレーを多くの人にみてほしい」と語る仁木のラストダンスはまだまだ続く。
  　なお、仁木同様に今大会で現役引退を表明していた竹内研人は山尾玲貴と対戦。３－６、７－６（４）、６－７（７）の大接戦の末に敗れてコートを後にした。

◆男子シングルス１回戦の結果（10月23日）

仁木拓人（三菱電機） 6-0 7-5  鈴木昂（エキスパートパワーシズオカ）
田島尚輝（やまやコミュニケーションズ）[Q]  0-6 6^2 6-3  ジョーンズ 怜音 ロアーク（フリー）[Q]
菊池玄吾（エキスパートパワーシズオカ）[Q]  6-2 6-2  髙悠亜（日本大学）[Q]
山尾玲貴（九州電力）[WC]  6-3 6-7(4) 7-6(7)  竹内研人（橋本総業ホールディングス）[Q]
磯村志（やすいそ庭球部)  6-4 6-2  河野優平（伊予銀行）[Q]
原﨑朝陽（ノア・テニスアカデミー神戸垂水）[WC]  6-3 7-5  竹島駿朗（Team REC）[Q]

※[Q]は予選勝者、[WC]はワイルドカード、[LL]はラッキールーザー

取材・文●小松崎弘（スマッシュ編集部）

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