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全日本テニス選手権、尾﨑里紗が現役生活にピリオド!「皆さんのおかげで幸せなテニス人生が送れました」<SMASH>

スマッシュ編集部

2022.10.23

今回の全日本がラストマッチとなる尾﨑里紗はフルセットの末に勝利を逃したものの「全てを出し切りました」と振り返った。写真:滝川敏之

 テニスの日本チャンピオンを決める「大正製薬リポビタン 全日本テニス選手権97th」が10月23日に大会2日目を迎えた。昨年はブルボンビーンズドーム(兵庫)で行なわれたが、有明コロシアムおよび有明インドアコート(東京)に会場を戻し、3年ぶりに有観客で開催。この日は男女シングルス1回戦のうち各々6試合が実施された。

 女子では今回の全日本を最後に現役からの引退を表明している尾﨑里紗が登場し、センターコートで細木祐佳と対戦。6-7(1)、6-2、0-6のフルセットの末に敗れ、選手生活にピリオドを打った。

 コロナ禍やケガの影響により約2年半ぶりの公式戦出場となった尾﨑。「久々の試合なので気持ちの持って行き方が難しかったが、とにかく最後なので楽しんでガムシャラにという気持ちで入った」試合は、立ち上がり3ゲームを連取するも、大事な場面であと1本が決まらず。そこから3ゲームを返されるというシーソーゲームとなる。

「サービスの調子があまりよくなくサービスゲームをキープするのに苦労した」の言葉どおり、甘くなったボールを細木に強打されるなど苦戦を強いられる尾﨑。第1セットはタイブレークにもつれ取れ込み、これを1-7で落とす。

「とにかく打ち合いに、私の持ち味でもある"粘り強さ"を出そうと思った」という第2セット。第1ゲームでブレークに成功すると、スピンやスライスを織り交ぜた多彩な攻めに加え、得意のカウンターを沈めるなど「いいところが出た」ことで主導権を奪取。サービスに苦しみながらも6-2とセットカウントをイーブンに戻す。
 
 だが、「ファイナルは体力面で厳しくなっていった」の言葉どおり、2年半のブランクは鉛のように尾崎の身体に重く絡みついていく。デュースに持ち込んでも足が動かず取り切れない。そんな場面を繰り返しながらポイントを失い「やれることはやった」ものの、最終的に0-6で敗退が決まった。

 試合後、20余年に及ぶ尾﨑のテニス生活を労うために、サプライズで奈良くるみら盟友たちがコート上に勢ぞろい。マイクを手にした尾﨑は「ジュニアの頃からテニス一筋でやってきて、今までたくさんの方に支えられてこれまでプレーできました。幸せなテニス人生を送ることができました」と感謝を口にした。


◆女子シングルス1回戦の結果(10月23日)

細木祐佳(フリー) 7-6(1) 2-6 6-0 尾﨑里紗(江崎グリコ)[WC]
小関みちか(橋本総業ホールディングス) 6-1 1-6 6-3 永田杏里(慶応義塾大学)
板谷里音(フリー)[Q] 6-4 6-4 松本安莉(島津製作所)
尾関彩花(フリー)[Q] 6-4 3-6 6-2 吉岡希紗(早稲田大学)[Q]
小林ほの香(橋本総業ホールディングス) 6-3 6-3 長谷川茉美(伊予銀行)[Q]
川口夏実(町田ローンTC)[Q] 6-4 6-4 牛島里咲(マサスポーツシステム)[WC]

※[Q]は予選勝者、[WC]はワイルドカ ード、[LL]はラッキールーザー

取材・文●小松崎弘(スマッシュ編集部)

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