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国内テニス

車いすテニス、ジュニア、プロが垣根を越えてガチで対決!無限の可能性を秘めた『WJPチャレンジテニス』<SMASH>

内田暁

2022.10.24

車いすテニス女子世界2位の上地結衣や同男子5位の小田凱人をはじめ現役プロの加藤未唯やジュニア選手ら『WJPチャレンジテニス』出場選手たち。写真:内田暁

車いすテニス女子世界2位の上地結衣や同男子5位の小田凱人をはじめ現役プロの加藤未唯やジュニア選手ら『WJPチャレンジテニス』出場選手たち。写真:内田暁

「トライ・アンド・エラー、アンド、エラー、アンド・トライ……って感じでやってきてますよ」 

 コートを見ながら松井俊英はそう言うと、隣に立つ“実行委員”の美濃越舞に「ねっ」と賛同を求めた。 

 10月21日に、千葉県柏市の吉田記念テニス研修センター(TTC)で開催された「WJPチャレンジテニス」は、今年が第3回目。その開催と継続は、イベント主催者たちにとっても、多様なるチャレンジのプロセスだった。

 WJPチャレンジの第1回大会が開催されたのは、2020年の秋。新型コロナ感染拡大のため、多くの競技会やあらゆる娯楽が停止した時だった。テニスももちろん、例外ではない。とくにコートに立つ機会が失われたのが、ジュニア選手や学生、そして車いすテニス競技者たちだった。

「だったらプロも交えて、みんなが参加できるイベントをやろうか」

 自身も、活躍の場を奪われたプロプレーヤーの一人である松井は、そう思い立つ。そこで日ごろ拠点とするTTCの人々や、車いすテニス競技者の荒井大輔らにも声を掛け、自らが実行委員としてこのイベントを企画した。
 
“WJP”の3文字が意味するのは、Wheel chair(車いす)、Junior(ジュニア)、そしてProfessional(プロフェッショナル)。それぞれの選手たちが垣根を越えて交流し、競い合うことがイベントのコンセプトとして据えられた。それは、あらゆる競技者が同じコート、同じ用具、そしてほぼ同一ルールで競い合えるテニスの魅力が、自ずと立ち上がった帰結でもある。

 その第1回目“WJPチャレンジテニス”では、参加者たちを「千葉県ゆかりの選手」と規定することで、地元振興の意味合いを強く打ち出した。

「ダイバーシティ(多様性)」をテーマに掲げた第2回目では、BNPパリバの協賛を得て、参戦選手や対戦カードもさらなる拡張を見せる。

 それら多様性を増した昨年の顔合わせのなかで、松井がとりわけこだわったのが、“車いすテニス選手対ジュニア選手”のカード。対戦したのは、当時15歳で、車いすテニスJr.世界1位の小田凱人。そして地元千葉でトップクラスのジュニア選手である、当時14歳の佐川永遠だった。

 このカードの実践に関しては、当初は実行委員会の間でも意見が割れたという。

「さすがに勝負にならないのでは?」「小田選手の相手の小学生が良いのではないか?」

 それら、主たる声だった。

 だが松井は、断固反対した。

「小田君はジュニアの世界1位。年下では彼に失礼だ。仮に大差になっても良い。その後、2人が仲良くなれたりしたら、熱いじゃないですか! そういう場を作ってあげたかった」

 昨年のイベント後、松井は熱く語っていた。

 実際にその時の対戦では、小田は敗れ、「障がい者と一般の壁はないと証明したかったのに、僕のスコアが悪く、それができなかった」と悔しがる。
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