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ケガから復帰の綿貫陽介は慶應チャンレジャー準優勝。第1シードに惜敗するも「1週間プレーできたのは良かった」<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2022.11.06

慶應チャンレジャー準優勝の綿貫陽介(左)。オコンネル(右)に敗れたが、故障からの復帰戦で1週間戦い抜いた。写真:スマッシュ編集部

 男子テニスの国際大会「横浜慶應チャレンジャー国際テニストーナメント」(11月1日~6日/横浜市・慶應義塾大学日吉キャンパス/ハードコート/ATPチャレンジャー)は11月6日に最終日を迎え、男子シングルス決勝が行なわれた。

 ATPチャレンジャーはワールドツアーの1つ下のカテゴリーに当たり、特にこのレベルのランキングにいる選手が多い日本男子にとっては、世界に出ていくために重要な大会。新型コロナウイルスの感染拡大により2020年、21年と中止された慶應チャレンジャーが、3年ぶりに開催されたのは喜ばしいニュースである。

 しかも今年は慶應を皮切りに愛媛、兵庫、四日市とチャレンジャーが4週続くスケジュールが組まれた。それだけ海外の強豪選手も集まりやすいが、日本選手にはぜひこの貴重な機会を生かして多くのポイントを獲得してほしいところだ。

 そんな関係者の願いが通じたのか、今大会は日本選手の活躍が目立った。ベスト8に3人の日本選手が残り、準々決勝で内田海智(172位)を破った綿貫陽介(227位)が決勝まで進出。また島袋将(331位)も元世界23位のダミール・ジュムホール(ボスニアヘルツェゴビナ/179位)を下してベスト4に食い込んだ。

 決勝は第7シードの綿貫が、準決勝で島袋を破った第1シードのクリストファー・オコンネル(オーストラリア/102位)に挑むカード。序盤は強力なサービスを軸にネットを絡めて攻めてくるオコンネルに綿貫は押され、1-6で落としてしまう。

 しかし第2セットからは綿貫が先に攻撃してネットを取る展開が増え、タイブレークの末に奪取。第3セットは互いに持ち味を発揮して互角の展開となったが、わずかにショットの精度が落ちたところで綿貫が痛恨のブレークを喫し、3-6で振り切られた。
 
 とはいえ、「球際とか細かいところの差はあるが、大きな差はなかったと思う」と前向きに捉えた綿貫。9月末の韓国オープンで左足首を負傷し、5週間ぶりの復帰戦で準優勝は健闘と言っていい。「もちろん悔しいけれど、1週間通して5試合プレーできたのは良かったかなと思っている」と手応えを感じていた。

 3年ぶりの慶應チャレンジャーを無事終えて、大会副実行委員長の坂井利彰氏は、「今の4年生が1年生だった春に開催して以来だったので、ノウハウがなくて苦労したが、学生みんなの努力が実った」と、大会運営に携わった慶大庭球部員たちをねぎらった。

 そして日本選手の活躍を喜びつつも、アジア・オセアニア全体のテニス活性化にも目を向ける。「今回はシドニーのチャレンジャーと日程が重なってしまった。今後は、韓国、オーストラリア、日本と連続してやれれば、アジア・オセアニアの選手みんながポイントを取りやすくなる」と坂井氏。

 来年はさらに充実したチャンレジャーシリーズとなることだろう。

◆男子シングルス決勝の結果
クリストファー・オコンネル(オーストラリア)[1] 6-1 6-7(5) 6-3 綿貫陽介(フリー)[7]
※[ ]内の数字はシード

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

【PHOTO】綿貫陽介のサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』