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「私はまだ生きている」殿堂入りテニスコーチが“自身の死亡説”をきっぱりと否定!「元気でとても幸せだ」<SMASH>

中村光佑

2022.11.22

シャラポワ、アガシ、錦織など多くの名プレーヤーを輩出したボロテリー氏。(C)Getty Images

 現地11月20日、アメリカ・フロリダ州の名門テニスアカデミー「IMGアカデミー」の創設者として知られるニック・ボロテリー氏が、各種メディアで大々的に報じられた自身の訃報に対し、SNSで否定するという異例の事態が発生した。海外スポーツメディア『Sportskeeda』が伝えている。

 現在91歳のボロテリー氏は、世界で活躍するプロテニスプレーヤーを目指す若手に総合的な教育とトレーニングプログラムを提供することを目的として、1978年に自身の名前を冠したテニスアカデミーを発足した。

 87年に大手スポーツマネジメント会社IMGに買収された同アカデミーを卒業した名プレーヤーは数多く、その中には元世界女王で2020年に現役を引退したマリア・シャラポワ(ロシア)や、元世界王者のアンドレ・アガシ(アメリカ)、さらには14年にアジア人選手として初のトップ5入りを達成した錦織圭も含まれている。

 各プレーヤーの多面的な成長をサポートする全寮制テニススクールのコンセプトを生み出し、テニスコーチングに革命を起こしたとも評価されているボロテリー氏。アガシやジム・クーリエ(アメリカ)、ボリス・ベッカー(ドイツ)といった往年のレジェンドを指導した経験を有しており、14年には国際テニスの殿堂入りを果たした実績も持つ。

 だが、当時88歳だった20年に肝臓病を患っていたことが報じられ、以降も体調が優れない日々が続いていたという。
 
 現地11月19日には、娘のアンジェリークさんが自身のFacebookを通じてボロテリー氏の近況を報告。「父は間もなく次の場所へと移動します。穏やかな旅立ちと素晴らしい旅立ちのために、どうか彼のことを思い続けていてください。私たちはパパを愛しています」と綴った。これを受けて「ボロテリー氏はすでにこの世を去った」との噂が広まっていたのだ。

 ところがボロテリー氏は、11月20日に更新したインスタグラムのストーリー機能で、「私は、皆さんが聞いているようなこととは裏腹にまだ生きていて、元気だと伝えておきたいと思います。この年老いたイタリア人が、長い間落ち込んでいることはもうそんなにありません。家族がいて、たくさんの人が私の元まで来てくれて、とても幸せです!」と、自身の死亡説をきっぱりと否定した。

 そして最後には「私は、皆さんが送ってくださるメッセージや電話、ボイスメッセージが大好きです。私はいつも"簡単ではない"と言っていますが、確かにその甲斐はありました。私は幸せ者です。皆さんの幸せを願っています」と、日々支えてくれている人々へ感謝のメッセージを送った。

 おそらく厳しい状況であることは間違いないだろう。それでも錦織を含め、幾多の名選手の成長と進化を見守り続けてきたボロテリー氏に奇跡が起こることを信じたいものだ。

文●中村光佑

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