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海外テニス

物議を醸した大坂なおみの全仏会見拒否&棄権騒動。当時の心情を今明かす「人生を立て直すために必要だった」<SMASH>

中村光佑

2022.12.08

会見ボイコットと棄権、うつ病の告白など、多くのことが重なった2021年全仏オープンでの大坂なおみ。当時の心の内を大坂本人が明かした。(C)Getty Images

会見ボイコットと棄権、うつ病の告白など、多くのことが重なった2021年全仏オープンでの大坂なおみ。当時の心の内を大坂本人が明かした。(C)Getty Images

 女子テニス元世界ランク1位の大坂なおみ(現42位)がアメリカの人気トーク番組『The Late Show』に出演。そのなかでスポーツ界を大きく揺るがした昨年5月の全仏オープンにおける自身の“記者会見ボイコット騒動”に言及した。

 昨年の全仏開幕の数日前に突如自身の公式SNSで「今年の全仏オープンで行なわれる全ての記者会見に応じない」と表明し、「人々がアスリートのメンタルヘルスについてあまり考えていないと感じていた」とメディアにも苦言を呈した大坂。同大会には予定通り出場したものの、シングルス1回戦で勝利した彼女は宣言通り試合後の会見には出席せず、規定違反による15,000ドル(当時約165万円)の罰金が科せられた。

 さらには四大大会(全豪・全仏・ウインブルドン・全米)が共同で大坂に対し、「今後も記者会見の拒否を継続する場合は、全仏オープンの失格処分やさらなる多額の罰金、将来的なグランドスラムの出場停止などの処分を受けることになる」と通告する事態にも発展。

 その直後に大坂は、2018年全米オープンでGS初優勝を達成して以降、長らく心の病を抱えていたことを告白し、全仏の棄権を表明するとともに「しばらくコートを離れたい」として一時的な選手活動の休止を発表した。

 大坂が復帰したのは7月に母国日本で開催された東京五輪。全仏から約2か月にわたって公式戦でプレーしなかった当時の心境を、大坂はこう振り返る。

「この決断を世間に発表するのは簡単ではなかったけど、人生を立て直すためにプレーをやめる必要性を感じた。休養が必要なことだと思っていたけど、世間一般では『アスリートとして強くなければならない』『何でも乗り越えろ』などと言われるので、その時は少し恥ずかしい気持ちもあった。それでも気持ちを立て直して調整した方が良いと思ったの。全仏が終わってからはしばらく(米ロサンゼルスの)自宅で横になっていたわ」
 
 その結果大坂は「気持ちを切り替えて強くなって戻ってこられるということを学べたし、その間に多くのことを学べた」と言う。またシングルス3回戦で敗退した東京五輪では「知り合いのアスリートや他競技で活躍する偉大な選手たちが、自分の状況を心配してくれる姿」を目にし、「悩んでいるのは自分だけではない」ことを実感できたと振り返った。

「オリンピックではたくさんのアスリートが声を掛けてくれて、本当にびっくりしたし、テレビで見ていて好きな人たちだったから光栄に思った。本当にありがたかったし、支えられているなと感じた」

 そして最後に大坂はトップアスリートが常に「忍耐強さ」を求められることに対して疑問を呈した。

「私はいつも、『我慢しなさい』『乗り越えなさい』と教えられてきた。でもそれに対して『なんでだろう』と思うことがあった。否定的な意味ではなく、もし私がそう感じたなら、そういう気持ちに向き合って修正し、旅を続けることはできるのに、『なぜ私はそのまま先に進まなければならないのだろう』と思ってしまう」

 今季はケガにも見舞われたこともあって結果を残せなかった大坂。再び世界のトップへ戻ってこられるよう、来シーズンでの再起に期待したい。

文●中村光佑

【PHOTO】2021年東京五輪での大坂なおみの厳選ショット!
 

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