過去から現在まで、テニス界には数多くのグッドサーバーが存在した。彼らが超高速フラットを打てたり、鋭い回転をかけられたポイントは何か? このシリーズでは、そこから一般愛好家が“イイトコ取り”して憧れのサービスに近付く方法を、元ナショナルコーチの丸山薫氏が解説する。第5回はアンディ・ロディックのフラットサービスを解剖!
* * *
よく歴代最高サーバーは誰かと議論されますが、私はキープ力ではサンプラス、サービス単体ではロディックだと思います。
ボールが破裂しそうな音で、コンスタントに230キロを超えていた1stサービス。そして2ndも考えられないくらいの高速スピンでした。サービスが速い選手は数多くいますが“サービスでナンバー1を取った”選手は、彼以外ほとんどいないでしょう。
サービスの威力は「肩(胸)の柔軟性」「タイミング」「バランス」の3要素で決まります。その全てがとてつもなく高いレベルで揃っていたのがロディックです。
あの肩の柔軟性は彼特有のものですが、あとの2つは一般の方も参考にできるはず。特にタイミングの取り方は無理なくパワーを出す鍵と言えます。
ロディックのトスはやや低く、写真の2コマ目が頂点に当たります。そしてそこから少し落ちてきた所でボールをヒット(3コマ目)。クイックまではいかない「セミクイック」のタイミングで、これが最もパワーが出ます。
トスが高すぎるとヒザを曲げている時間が長くなり、蹴りの反動をつけにくいため、地面から十分なパワーをもらえません。セミクイックだとトスの滞空時間が短いので、ヒザの曲げ伸ばしもリズミカルに行なえ、バネを利かせやいのです。
ロディックは1コマ目で深くヒザを曲げた後、トスが頂点にある段階(2コマ目)で早めに伸ばし始めており、時間のロスがありません。なお、腰を前に突き出すヒップローテーションを少し早めに行なうと、セミクイックで打ちやすくなります。
【プロフィール】アンディ・ロディック/Andy Roddick(USA)
1982年生まれ。グランドスラム通算1勝。2000年代を代表する高速サーバーで、時速250キロに迫るサービスを放ち、歴代最速記録をたびたび塗り替えた。03年に全米オープン優勝と世界ナンバー1を達成。
解説●丸山薫 構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2021年11月号より再編集
【連続写真】時速250キロに迫るロディックのフラットサービス『30コマの超分解写真』
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よく歴代最高サーバーは誰かと議論されますが、私はキープ力ではサンプラス、サービス単体ではロディックだと思います。
ボールが破裂しそうな音で、コンスタントに230キロを超えていた1stサービス。そして2ndも考えられないくらいの高速スピンでした。サービスが速い選手は数多くいますが“サービスでナンバー1を取った”選手は、彼以外ほとんどいないでしょう。
サービスの威力は「肩(胸)の柔軟性」「タイミング」「バランス」の3要素で決まります。その全てがとてつもなく高いレベルで揃っていたのがロディックです。
あの肩の柔軟性は彼特有のものですが、あとの2つは一般の方も参考にできるはず。特にタイミングの取り方は無理なくパワーを出す鍵と言えます。
ロディックのトスはやや低く、写真の2コマ目が頂点に当たります。そしてそこから少し落ちてきた所でボールをヒット(3コマ目)。クイックまではいかない「セミクイック」のタイミングで、これが最もパワーが出ます。
トスが高すぎるとヒザを曲げている時間が長くなり、蹴りの反動をつけにくいため、地面から十分なパワーをもらえません。セミクイックだとトスの滞空時間が短いので、ヒザの曲げ伸ばしもリズミカルに行なえ、バネを利かせやいのです。
ロディックは1コマ目で深くヒザを曲げた後、トスが頂点にある段階(2コマ目)で早めに伸ばし始めており、時間のロスがありません。なお、腰を前に突き出すヒップローテーションを少し早めに行なうと、セミクイックで打ちやすくなります。
【プロフィール】アンディ・ロディック/Andy Roddick(USA)
1982年生まれ。グランドスラム通算1勝。2000年代を代表する高速サーバーで、時速250キロに迫るサービスを放ち、歴代最速記録をたびたび塗り替えた。03年に全米オープン優勝と世界ナンバー1を達成。
解説●丸山薫 構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2021年11月号より再編集
【連続写真】時速250キロに迫るロディックのフラットサービス『30コマの超分解写真』
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