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海外テニス

「どれだけの犠牲を払っているか」英名手ノーリーが露選手の出場を禁じたウインブルドンに私見「最高の選手たちにはプレーしてほしい」<SMASH>

中村光佑

2022.12.18

波紋を呼んだウインブルドンの決断に地元選手のノーリーが見解を述べている。(C)Getty Images

波紋を呼んだウインブルドンの決断に地元選手のノーリーが見解を述べている。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスエキジビジョンマッチ「ムバダラ・ワールド・テニス・チャンピオンシップ」(12月16日~18日/UAE・アブダビ/ハードコート)のシングルス初戦で敗退した世界ランク14位のキャメロン・ノーリー(イギリス)が、試合後の記者会見に出席。今年7月に母国で行なわれたテニス四大大会「ウインブルドン」でロシア・ベラルーシ人選手が出場を禁じられたことに言及し、自身の見解を示した。

 今年2月末に始まったロシアのウクライナ侵攻は、テニス界にも大きな影響を与えているが、そのなかでもイギリスは侵攻国出身の選手に厳しい措置を講じてきた。

 まず、イギリス・ローンテニス協会(以下LTA)は英国政府の勧告の下、今夏にイギリス国内の芝コートで行なわれた計5つのトーナメント(うち3つは下部大会)でロシア・ベラルーシ国籍の選手に出場禁止を通告。それに追随する形でウインブルドンを主催するオールイングランド・ローンテニス&クローケークラブ(以下AETLC)も今年7月に開かれた同大会で2国の選手の締め出しを遂行した。

 だが、この決定には多くの選手から疑問が噴出。今年のウインブルドンで大会4連覇を含む7度目の優勝を飾った元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現5位)も「選手を出場停止にする必要はない。そのような決定が紛争にどう影響するかは分からないはずだ」と発言していたほどだった。

 そして同大会で、グランドスラム初のベスト4へ進出した27歳のノーリーも、多少なりとも侵攻国出身の選手に同情を寄せているプレーヤーの1人だ。今回の記者会見では次のようにコメントしている。
 
「ITF(国際テニス連盟)やウインブルドン、ATP(男子テニス協会)がどのように考えているのかを知るのは難しいけど、世界最高峰の選手たちにはプレーしてほしい。特に(トッププレーヤーでロシア国籍の)メドベージェフやルブレフは、ウインブルドンで優勝するチャンスがあったのに、今年は厳しい年だった。彼らがキャリアのためにどれだけの犠牲を払っているか、僕は知っている」

 ちなみに、ATPとWTA(女子テニス協会)の両団体は、「全ての国の選手を平等に大会へ参加させるというテニス界の基本原則に反している」として、ロシア・ベラルーシ人選手の大会参加を認めなかったLTAには多額の罰金を科している。

 また、スペインのテニス専門メディア『Punto de Break』によれば、AETLCもATPやWTAからのさらなる制裁を回避するため、来年のウインブルドンでは、両国の選手への出場禁止措置を解除する方向で検討しているという。だがこれについては、まだ正式発表が出されていないため、今後の動向に注目が集まりそうだ。

文●中村光佑

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