2023年テニスシーズンがスタートしました。今年注目の日本人選手と言えば、錦織圭選手でしょう。2022年にカムバックできなかったため、現在はランキングがありません。33歳という年齢的なことを考えると復帰する今年が勝負になります。
彼の才能とこれまでの経験があるため順調にいけばテニスもメンタルも心配する必要がないので、ある程度ランキングを上げられるでしょう。しかし、今の年齢と長期離脱からの復帰は決して簡単ではありません。大変な時期を乗り越えなくてはいけないことは、覚悟した上での復帰と捉えていることは間違いないです。
彼の実績や人柄、マネージメントのサポートを考えれば、ワイルドカードはもらえると思いますが、それも年間でツアー本戦は6大会に限られます。これに加えてプロテクトランキングで出場するわけですが、ドロー運やその時の調子にも左右されるため、限られた時に確実にランキングを上げていくことは簡単ではありません。
チャレンジャーレベルを戦い抜くとなると、実はこれも結構大変なんです。ツアーに出ている選手と違い、下部大会では若さと勢いでぶつかってきたり、とにかくしつこいフィジカルだけというような特殊な選手とも対戦することになります。そういう慣れない環境での戦いは本当にタフだと思います。
メディアも色々と取り上げますし、周りの見方も変わってきたりもします。アンディ・マリーのように数年かけてトップ50に戻ってきた選手もいますが、彼のようなタフさを持ち続けられるかです。1年は気持ちを持続できても、2年3年と続くと難しくなります。そうなると、引退という文字がちらつくことにもなりかねません。だからこそ、今年は勝負の1年になるでしょう。
さて、日本女子の注目選手ですが……、残念ながら挙げる選手がいません。若手の成長が期待していたほどなかったです。今は大きな転機になる時でもあるので、あえて名前を挙げるのをやめて見守ることにします。ずいぶん前から危惧していましたが、とうとうこの現実がやってきました。グランドスラム本戦にシングルスの出場選手がゼロという状況も十分に考えられます。
この先ツアーを回っている中で調子が良くて結果を出す選手はいるかもしれませんが、本当の意味で選手が育っていません。東京オリンピックへ向けて大坂選手にかなりのエネルギーを注いできたことにより、若い選手にエネルギーを注ぎきれなかったことで育てられなかった影響が出てきています。
現在は徐々に若手やジュニアへの育成にも力を入れ始めるようなので、あと数年、待ちましょう。選手の移り変わりも激しいのがツアーです。グランドスラム本戦で戦う日本人若手選手がまた当たり前のようにいる時代が来ることを信じましょう。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
【UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2022 with Roger Federer PHOTO】フェデラーと錦織が夢の共演!!
彼の才能とこれまでの経験があるため順調にいけばテニスもメンタルも心配する必要がないので、ある程度ランキングを上げられるでしょう。しかし、今の年齢と長期離脱からの復帰は決して簡単ではありません。大変な時期を乗り越えなくてはいけないことは、覚悟した上での復帰と捉えていることは間違いないです。
彼の実績や人柄、マネージメントのサポートを考えれば、ワイルドカードはもらえると思いますが、それも年間でツアー本戦は6大会に限られます。これに加えてプロテクトランキングで出場するわけですが、ドロー運やその時の調子にも左右されるため、限られた時に確実にランキングを上げていくことは簡単ではありません。
チャレンジャーレベルを戦い抜くとなると、実はこれも結構大変なんです。ツアーに出ている選手と違い、下部大会では若さと勢いでぶつかってきたり、とにかくしつこいフィジカルだけというような特殊な選手とも対戦することになります。そういう慣れない環境での戦いは本当にタフだと思います。
メディアも色々と取り上げますし、周りの見方も変わってきたりもします。アンディ・マリーのように数年かけてトップ50に戻ってきた選手もいますが、彼のようなタフさを持ち続けられるかです。1年は気持ちを持続できても、2年3年と続くと難しくなります。そうなると、引退という文字がちらつくことにもなりかねません。だからこそ、今年は勝負の1年になるでしょう。
さて、日本女子の注目選手ですが……、残念ながら挙げる選手がいません。若手の成長が期待していたほどなかったです。今は大きな転機になる時でもあるので、あえて名前を挙げるのをやめて見守ることにします。ずいぶん前から危惧していましたが、とうとうこの現実がやってきました。グランドスラム本戦にシングルスの出場選手がゼロという状況も十分に考えられます。
この先ツアーを回っている中で調子が良くて結果を出す選手はいるかもしれませんが、本当の意味で選手が育っていません。東京オリンピックへ向けて大坂選手にかなりのエネルギーを注いできたことにより、若い選手にエネルギーを注ぎきれなかったことで育てられなかった影響が出てきています。
現在は徐々に若手やジュニアへの育成にも力を入れ始めるようなので、あと数年、待ちましょう。選手の移り変わりも激しいのがツアーです。グランドスラム本戦で戦う日本人若手選手がまた当たり前のようにいる時代が来ることを信じましょう。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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