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【歴代好サーバーに学ぶ】身体の使い方に無理がないフェデラーのフラットサービスはお手本に最適!<SMASH>

スマッシュ編集部

2023.01.01

前腕のプロネーションを使い、打球後にラケット面を外向きに返しているが(3~4コマ目)、ヒジを上に残してはいない。フォームに無理がないのがフェデラーのサービスだ。写真:スマッシュ写真部

 過去から現在まで、テニス界には数多くのグッドサーバーが存在した。彼らが超高速フラットを打てたり、鋭い回転をかけられたポイントは何か? このシリーズでは、そこから一般愛好家が"イイトコ取り"して憧れのサービスに近付く方法を、元ナショナルコーチの丸山薫氏が解説する。第6回はロジャー・フェデラーのフラットサービスを解剖!

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 フェデラーはサービス力でエースを取るタイプではなく、色んな球種、コースを打ち分けて、相手のタイミングを外すことでポイントを取る選手でした。次のショットに結び付ける上で効果のあるサービスを選択します。

 フォームでコースを隠す点はサンプラスに似ていますが、トスの位置をわざと変えて相手を翻弄するところはフェデラーならでは。例えばトスを右の方に上げ、スライスと見せておいてドカンとフラットを打ったり、左寄りのトスでスピンと見せてフラットとか、相当"いじる"タイプです。

 同じトスで多彩なサービスを打つのではなく、違うトスで想定外のサービスを打つところが他の選手と違います。

 ではフェデラーのサービスから一般愛好家はどこを学ぶべきか? この写真はフェデラーのフラットサービスですが、彼のフォームは自然体で、身体の使い方が極端ではありません。
 
 その中で注目したいのは前腕の「プロネーション(回内)」です。プロネーションとは、うちわを扇ぐようにヒジから先をひねる動作のことで、打球直後にラケット面が外向きに返っているのがそれですが(3~4コマ目)、フェデラーは回内を意図的には行なっていません。

 ヒジが曲がっておらず、腕が前方に自然に伸びているのがその証拠。ベッカーやサンプラスは打球後にヒジを上に残して面を返します。そうすると強烈にプロネーションできるからですが、ケガやミスも招きやすい。

 フェデラーはヒジを上に残さず、力を抜くことで自然に返るようにしているのです。一般の方にはこの方が適しています。

【プロフィール】ロジャー・フェデラー/Roger Federer (SUI)
1981年生まれ。グランドスラム通算20勝。全てのGSタイトルを保持し、特にウインブルドンは歴代最多の8度の優勝を誇る。サービスを含む全てのショットを完ぺきにこなし、"生ける伝説"と言われたが、2022年9月に引退。

解説●丸山薫 構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2021年11月号より再編集

【連続写真】身体の使い方に無理がないフェデラーのフラットサービス『30コマの超分解写真』