前回に続いてドーピングについて、今回はチェック体制を紹介します。ソウル五輪でテニスがオリンピック競技種目になってから、アンチ・ドーピングの動きが入ってきました。テニスに限らずアンチ・ドーピングは年々厳しくなっています。
私の現役の時で説明すると、日本人の場合ドーピングの検査機関はWADA(世界ドーピング防止機構)とJADA(日本アンチ・ドーピング機構)があり、WTA(女子テニス協会)とITF(国際テニス連盟)と、JTA(日本テニス協会)の3つの機関が検査を依頼するわけです。
ランキングが高くなると、彼らのコントロール下におかれ、オリンピックの指定選手になると、より厳重になっていきます。
検査方法は、検査員が来たら、尿を採取して渡します。血液検査があった時もあるようですが、私はしたことはありません。検査の告知をされてから採取するまで、検査員がずっと一緒で、ごまかしたりしていないかをチェックされます。
検査は試合後に行なわれることが多いですが、それ以外でも実施されます。アスリートはカレンダーのようなシステム上に、毎日のスケジュールを入れており、「ドーピング検査に来るなら、この時間」という1時間を毎日指定します。それ以外の時間も自分がどこにいるのかを記入しており、指定の1時間以外の時間に突然検査員がやってくるのが抜き打ちです。
カレンダーで指定していた1時間の枠に検査がきて、それに対応できなかった場合、ペナルティーとなります。私はうっかりスケジュールの変更を忘れ、1度ペナルティーを受けました。1年半の間にペナルティーが3になると出場停止になるので、その期間はドキドキでしたね。スケジュールはギリギリまで変更可能なのですが、この対応は本当に大変です。
抜き打ち検査は寝た後に来ることもあります。夜の10時過ぎにピンポーンの音で起こされて、出てみると検査開始となりました。寝ていたので尿意はありません。そこから2リットル以上の水を飲んだでしょうか。苦痛な時間の始まりです。長い時間をかけて採尿した後、検査員は帰りますが、私はそこからが大変でした。尿を出すために大量に水を飲んだため、今度は何度もお手洗いに行くことになり寝られませんでした。
その日は練習で5時半には起きる予定でしたが、結局寝不足のままで練習に向かうことに。アンチ・ドーピングの大切さはわかりますが、寝不足でケガをしても検査側は何も保証はしてくれません。検査に対応するために、アスリートのケガのリスクが上がるのは、どうなのかなと思います。
最近では、スノーボーダーの竹内智香選手が同じような抜き打ち検査があったことを紹介していました。彼女は検査員を家に入れて、ベッドの横に椅子を用意して待たせて、その状態で寝たようです(笑)。アスリートの場合、翌日に練習があれば夜の10時には寝ていることが多いので、せめて活動時間内に来てほしいところです。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
【PHOTO】世界4位にまで上り詰めた伊達公子のキャリアを写真で振り返り!
私の現役の時で説明すると、日本人の場合ドーピングの検査機関はWADA(世界ドーピング防止機構)とJADA(日本アンチ・ドーピング機構)があり、WTA(女子テニス協会)とITF(国際テニス連盟)と、JTA(日本テニス協会)の3つの機関が検査を依頼するわけです。
ランキングが高くなると、彼らのコントロール下におかれ、オリンピックの指定選手になると、より厳重になっていきます。
検査方法は、検査員が来たら、尿を採取して渡します。血液検査があった時もあるようですが、私はしたことはありません。検査の告知をされてから採取するまで、検査員がずっと一緒で、ごまかしたりしていないかをチェックされます。
検査は試合後に行なわれることが多いですが、それ以外でも実施されます。アスリートはカレンダーのようなシステム上に、毎日のスケジュールを入れており、「ドーピング検査に来るなら、この時間」という1時間を毎日指定します。それ以外の時間も自分がどこにいるのかを記入しており、指定の1時間以外の時間に突然検査員がやってくるのが抜き打ちです。
カレンダーで指定していた1時間の枠に検査がきて、それに対応できなかった場合、ペナルティーとなります。私はうっかりスケジュールの変更を忘れ、1度ペナルティーを受けました。1年半の間にペナルティーが3になると出場停止になるので、その期間はドキドキでしたね。スケジュールはギリギリまで変更可能なのですが、この対応は本当に大変です。
抜き打ち検査は寝た後に来ることもあります。夜の10時過ぎにピンポーンの音で起こされて、出てみると検査開始となりました。寝ていたので尿意はありません。そこから2リットル以上の水を飲んだでしょうか。苦痛な時間の始まりです。長い時間をかけて採尿した後、検査員は帰りますが、私はそこからが大変でした。尿を出すために大量に水を飲んだため、今度は何度もお手洗いに行くことになり寝られませんでした。
その日は練習で5時半には起きる予定でしたが、結局寝不足のままで練習に向かうことに。アンチ・ドーピングの大切さはわかりますが、寝不足でケガをしても検査側は何も保証はしてくれません。検査に対応するために、アスリートのケガのリスクが上がるのは、どうなのかなと思います。
最近では、スノーボーダーの竹内智香選手が同じような抜き打ち検査があったことを紹介していました。彼女は検査員を家に入れて、ベッドの横に椅子を用意して待たせて、その状態で寝たようです(笑)。アスリートの場合、翌日に練習があれば夜の10時には寝ていることが多いので、せめて活動時間内に来てほしいところです。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
【PHOTO】世界4位にまで上り詰めた伊達公子のキャリアを写真で振り返り!