海外テニス

「まともに歩けない」42歳の元女王ビーナスが全豪欠場の舞台裏を告白。復帰に向けても意欲「すぐにでもテニスを再開したい」<SMASH>

中村光佑

2023.02.07

全豪の前哨戦で太ももを負傷したビーナス。彼女のカムバックに期待したい。(C)Getty Images

 現地時間2月4日、女子テニス元世界ランク1位のビーナス・ウィリアムズ(アメリカ)が自身の公式Youtubeチャンネルを更新。その中でケガからの復帰へ向けた意欲を口にした。

 元世界女王のセレナ・ウィリアムズを妹に持ち、四大大会のシングルスで7度の優勝を誇る42歳のビーナス。

 ここ数年は度重なるケガで大会出場数が大幅に減っていた中、昨年12月に現役続行を明言した彼女は、年明けに行なわれた女子テニスツアー「ASBクラシック」(ニュージーランド・オークランド/ハードコート/WTA250)にワイルドカード(主催者推薦)で出場。

 1回戦で同郷のケイティ・ボリネッツ(大会時113位/現97位)をストレートで下し、シングルスでは2021年のウインブルドン1回戦以来、実に約1年6か月ぶりとなる勝利を挙げていた。

 迎えた2回戦では、約2時間半にも及ぶ接戦の末にズー・リン(中国/大会時84位/現41位)に逆転で敗れ、惜しくも約2年ぶりのツアー8強入りとはならず。悪天候による進行の遅れに見舞われたこの試合でビーナスはハムストリング(太もも)を負傷し、本選ワイルドカードを獲得していた年内最初のテニス四大大会「全豪オープン」の欠場を余儀なくされた。現在も復帰のメドは立っていない。

 リンとのオークランド2回戦で「何時間も走っているうちに何かがおかしいと感じた」というビーナスは、「コーチやトレーナーからは、メディカルタイムアウトを要求するように言われ続けていたけど、その時点ではどうすることもできなかった」と当時の状況を説明。「試合を終わらせるために戦い抜くこと」を決断した結果、ケガの状態が悪化してしまい、全豪の出場辞退に至ったと明かした。
 
「試合が終わったあの日の夜にベッドに横になると、まだ痛みがあり、悪いことが起きているということがわかった。翌日にはまともに歩けなくなり、MRIを撮ったが、その結果には驚かなかったわ。検査してみると、ハムストリングを負傷していたことが判明した。だからワイルドカードをもらっていた全豪を欠場することになったのは当然のことだった」

 そのうえで「ケガをしたのはつらいことで、長らく満足にプレーできなかったのに、また回復に向かわなければならない」と複雑な心境を吐露したビーナス。それでも再び完全復活を遂げるための熱意を失ってはいないようだ。今年6月に43歳を迎える元女王は、動画の最後をこう締めくくった。

「次のステップは何なのか、復帰までどのくらいかかるのか、今も医師と連絡を取り合っている。今は、しばらく休んでから運動を再開するという流れになっている。次のステップは、自分の身体の動きを心地よく感じられるようになること。私は何度もケガをしたから、自信を取り戻すのにどれだけ時間がかかるかわかっている。いつになるかはわからないけど、すぐにでもテニスを再開したい」

 その言葉通りまずは一日も早いツアー復帰を祈りたいところ。長きにわたり女子テニス界を牽引してきたビーナスが華やかなカムバックを期待したい。

文●中村光佑

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【動画】ビーナスが1年半ぶりのツアー勝利を挙げたASBクラシック1回戦のハイライト