多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。
 　
　そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこで元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

　今回は「目にゴミが入った時」の対応について。サービスを受けようとしてリターンのポジションに付いたら、急に砂ぼこりが立って目にゴミが…。痛くてプレーできそうにありません。こんな時、ゲームを中断することはできるのでしょうか？

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　まずは緊急事態であることをサーバーに伝えるために、ハッキリと「レット」（やり直し）をコールしましょう。

　いったんレシーブを構えていて、相手サーバーがモーションに入った後、目にゴミが入ってリターン不可能な場合は「ノットレディ」（準備ができていなかった）と解釈されます。

　しかし、一度は「レディ」（準備完了）の意思表示をしたわけですから、レシーバーが避けられない予期せぬ出来事が起こりレットをかけたということで、ファーストサービスからのやり直しになります。

　異物が目に入り、痛くてどうしようもない場合には、プレーは続行不可能です。そのような場合にはメディカルタイムアウトの対象となり、ロービングアンパイアを呼んで、目を洗いに行くなどの処置をすることができます。
  　ただし、サービスを打ち返した後、プレー中に片方の目にゴミが入った場合は、もう片方の目でなんとかプレーしなくてはなりません。客観的な判断が難しい状況ならば最後までプレーを続けるのが最善の策といえるかもしれません。

　誰もが認めるすごい砂嵐がプレーに支障をきたした場合には、ポイントをやり直し「レット」にすることもあり得るかと思います。ただし、厳しいサービスが来たからと言って急に「目にゴミが入った」と主張するのはダメです。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム（四大大会）では、全豪オープン3回戦進出を始め、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF国際審判員、JTA公認審判員も務める。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2021年３月号より抜粋・再編集

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