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海外テニス

試合中に“着ぐるみパンダ”がコート乱入。選手も主審もそのままプレー続行に、警備は大丈夫?の声も<SMASH>

中村光佑

2023.02.16

着ぐるみ乱入の珍事態で流れが変わったか、逆転で予選突破を決めたバレール。本戦1回戦ではゴファンを破り、波に乗っている。(C)Getty Images

着ぐるみ乱入の珍事態で流れが変わったか、逆転で予選突破を決めたバレール。本戦1回戦ではゴファンを破り、波に乗っている。(C)Getty Images

 思わず目を疑ってしまう光景がファンの間で話題となっている。

 現地2月12日に行なわれた男子テニスツアー「ABNアムロ・オープン」(2月13日~19日/オランダ・ロッテルダム/インドアハードコート/ATP500)のシングルス予選決勝でのこと。カンタン・アリス(世界ランク62位)とグレゴワール・バレール(同71位)によるフランス勢対決となったこの試合は、アリスがタイブレークの末に第1セットを先取。問題のシーンはアリスがゲームカウント4-1とリードを広げて迎えた第2セットの第6ゲームだった。

 サービスゲームとなったバレールは0-15とポイントを先行されるも、2ポイント目でサービスのフリーポイントを奪って15-15に。するとその直後、突如パンダの着ぐるみを着た人物がコート脇の出入口から姿を現し、ゆっくりと走りながらコート内に侵入。試合が一時中断されると、着ぐるみパンダはネットの横にいたボールボーイの近くへと向かい、その場で“でんぐり返し”を披露した。

 その後、両手を大きく揺らしてコートを横切った着ぐるみパンダはバレールの目の前を通り過ぎる際に観客へ向かって手を挙げ、最後にはコート側面にある低い広告ボードを飛び越えてそのまま出入口へと姿を消した。

 まさかの事態が発生したにもかかわらずアリスとバレールはノーリアクション。主審も着ぐるみの人物に対して特に何か注意をするということはなく、観客からもブーイングや歓声が起こることはなかった。そのためどことなくシュールな雰囲気が会場中を漂った。
 
 着ぐるみパンダが去ってからは何事もなかったかのようにプレーを再開。しばしの中断で流れが大きく変わったこの試合は最終的にバレールがアリスに6-7(4)、7-6(3)、7-6(1)の逆転で勝利し、本戦入りを果たした。なお本戦1回戦でバレールは元世界7位のダビド・ゴファン(ベルギー/現41位)を6-0、7-6(3)で下し、フェリックス・オジェ-アリアシム(カナダ/8位)との2回戦へ駒を進めている。

 アリスとバレールの試合が終わった後で、あるファンが問題のシーンの映像をツイッター上で公開したところ、多くのユーザーからリプライやいいね!が殺到。「こんなのが見られるとは」「これは面白い」という声が上がった一方で、「セキュリティはどうなっているのか?」と大会側のずさんな警備体制を非難するコメントも数多く見られた。

 実はテニス界では試合中に乱入する者が後を絶たない。直近では昨年6月の「テラ・ウォルトマン・オープン」(ドイツ・ハーレ/芝/ATP500)のシングルス決勝で「残りたった3年」と記されたシャツを着用した1人の女性がコートに侵入し、試合の進行を妨げてしまう出来事が起こった。過去には女子元世界1位のモニカ・セレス(アメリカ/49位)がチェンジエンドで暴漢に背中を刺された事例もあるだけに、各大会でセキュリティ強化を進めておくべきだろう。

文●中村光佑

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