海外テニス

米国入国不可となったジョコビッチに、ATP会長が「全ての大会でプレーする姿を見たい」とエール<SMASH>

中村光佑

2023.03.09

ATP会長のガウデンツィ氏(左)は、ジョコビッチ(右)の米国大会出場不可の決定を受け、彼をアシストするコメントを出した。(C)Getty Images

 男子テニスを統括するATP(男子プロテニス協会)の会長を務めるアンドレア・ガウデンツィ氏(イタリア/49歳)がトリノでの記者会見に出席。世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が新型コロナウイルスのワクチン未接種のため、現在開催中のマスターズ1000大会「BNPパリバ・オープン」(アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート)の欠場を余儀なくされたことに言及した。

 開幕前から各種海外メディアで2年連続となる春の米国シリーズ欠場を強いられる可能性が高いと報じられていたジョコビッチ。その事態を避けるべく、35歳のレジェンドはワクチン接種を義務付けている米当局に対して例外的な入国許可を求めるための申請を行なっていた。

 こうしたジョコビッチの動きを受けて、USTA(全米テニス協会)と全米オープンもSNSを通じて同選手を支援するメッセージを発信していたが、その願いもむなしく、現地3月5日にジョコビッチのインディアンウェルズ欠場が正式に決定。米国側が入国要件によほどの変更を加えない限り、ジョコビッチは3月22日から開幕する「マイアミ・オープン」(ATP1000)の出場も絶望的となった。

 またしてもテニス界のスーパースターがワクチン未接種によって米入国とマスターズ出場を認められなかったことについて、ガウデンツィ氏も無念の思いを抱いているようだ。
 
 今回の記者会見で同氏は「入国できないとなればそれはインディアンウェルズの決定ではなく、アメリカによる(国の)決定になるわけです。政府の決定なので、尊重されなければなりません」と一定の理解を示しつつも、以下のようにコメントした。

「我々もプレスリリースを出しましたが、こういう結果になったことを申し訳なく思っています。(今後は)我々のスポーツの世界ナンバーワンの選手が全ての大会でプレーする姿を見たいと思っています。今は全ての国で新型コロナの規制が少し緩和され、私たちが知る限りでは、アメリカももうすぐオープンになると思うので、今回は特に残念でなりません。彼が参加できないのは残念です」

 ちなみにジョコビッチ本人はかねてから「アメリカがだめなら、(その後それ以外の国で開催される)クレーコートの大会に出るほかない」と今春の北米シリーズの出場を半分諦めるかのような発言をしていた。それでも1人のテニスプレーヤーとして大会に出られないという現実は心底つらいものだろう。彼の言葉通り4月から始まるクレーシーズンに向けて、気持ちを切り替えるしかないのかもしれない。

文●中村光佑

【PHOTO】テニス史上に残る名プレーヤー!ノバク・ジョコビッチの厳選ショット!