海外テニス

不振から脱却すべくラドゥカヌがSNS決別を告白「自分の考えにフォーカスしたい」<SMASH>

中村光佑

2023.03.12

SNSから距離を取ったラドゥカヌは、「BNPパリバ・オープン」1、2回戦をストレートで勝利を収め、復調の兆しが見え始めている。(C)Getty Images

 当時18歳で出場した2021年の全米オープンで予選から1セットも落とさずにグランドスラム(四大大会)初優勝を飾り、テニス界に衝撃を与えた女子元世界ランク10位のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/現77位)。

 全米優勝以降なかなか好結果を出せていない彼女は、不振から脱却すべく「新たに試していることがある」という。どうやら20歳のシンデレラガールは、現代社会においてもはや欠かせないものとなっているソーシャルメディア(SNS)と距離を置こうとしているようだ。

 テニス系海外メディア『UBITENNIS』によると、ラドゥカヌは今年1月の「全豪オープン」で2回戦敗退を喫した直後に自身のWhatsApp(オンラインメッセージツール)とインスタグラムを携帯電話のアプリ画面から削除したと告白。これについては以下のように詳しく説明した。

「他人が自分について言っていることを見るのではなく、自分の考えにフォーカスしたいという狙いがある。全豪の後、携帯からWhatsAppとインスタグラムを削除して以来、私は少々世の中の出来事に疎くなっている。

 時には、自分自身に集中したいような時期があるような気がしていた中で、SNSを消してみるとそれがない生活にとても満足していた。自分が良いことをしようと、悪いことをしようと、人は関係なく襲ってくるということを学んだから」
 
 全米優勝をはじめ21年に大活躍を遂げたラドゥカヌの人気は瞬く間に上昇した。現時点での彼女のインスタグラムのフォロワー数は254万人となっており、これは世界女王に君臨するイガ・シフィオンテク(ポーランド)の2倍以上にあたる数字だ。

 さらにはツイッターでも65万人以上ものフォロワーを獲得している。だがそれゆえにラドゥカヌの元には心ない言葉も多数寄せられていたようだ。ここ最近は成績を大きく落としていることも追い打ちをかけてしまったのかもしれない。

 実は以前、16年のリオ五輪テニス女子シングルスでプエルトリコ人選手として初の金メダルを獲得した元世界27位のモニカ・プイグ氏(29歳/昨年6月に引退)が常に大きな注目を浴びているラドゥカヌに向けて、「SNSに目を向けすぎない方が良い」とのアドバイスを送っていた。ラドゥカヌがSNSを遠ざけることにした背景にはこのプイグ氏の助言が関係している可能性もあるだろう。

 早速取り組みの効果が表れているのか、現在開催中の「BNPパリバ・オープン」(3月8日~19日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート/WTA1000)のシングルス1回戦でダンカ・コビニッチ(モンテネグロ/62位)にストレートで快勝した。

 現地3月11日に行なわれた2回戦でも第20シードのマグダ・リネッテ(ポーランド/21位)に7-6(3)、6-2で勝利。3回戦ではベアトリス・ハダッドマイア(ブラジル/13位)と対戦する。

文●中村光佑

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【動画】「BNPパリバ・オープン」2回戦、ラドゥカヌ対リネッテ戦のハイライト