個々の対戦を「点」ではなく、つないで「線」とすることで、重厚なる物語は描かれる。
加藤未唯/アルディラ・スチアディが、BNPパリバ・オープン第2シードのココ・ガウフ/ジェシカ・ペグラと対戦するのは、今季早くも3度目のことだ。
初対戦は、今年1月の全豪オープン3回戦。「そこまで差は感じなかった」(加藤)ながらも、ストレートの敗戦だった。
2度目の対戦は、わずか3週間後のドバイ大会(WTA500)の2回戦。ファーストセットを奪い、第2セットも先にブレークし勝利に肉薄するも、6-4、6-7(5)、2-10で逆転負けを喫した。
このドバイ大会の後、加藤は当初の渡米予定を取りやめて、日本へと戻っている。
「彼女たち対策というか、一度、見つめ直したい事ことがあったので帰国したんです」
その決断の背景には、「自分たちに有利な状況だったのに、ここで勝てなかったらいつ勝つの?」と自問自答するほどの、深い落胆もあったという。
加藤の言う「有利な状況」とは、ガウフとペグラのタフスケジュール。二人は、前週のドーハ大会で最終日まで勝ち残っていたため、疲労や調整不足もあるなかでの対戦だった。それでも逆転を喫した事実に、うな垂れ辿った岐路でもある。
それでも彼女の中にあった希望が、「拠点で練習すれば、いつも何か一つは新しくできることが増えている」という経験。だからこそこの時も、帰国し技を磨き直した。
そうして切った再スタートの大会こそが、アメリカ開催のBNPパリバ・オープン。そこで3度、ガウフ/ペグラと当たったのは、来るべき巡り合わせだったかもしれない。加えるならこの日は、ガウフの19歳の誕生日。客席にはファンが溢れ、入口の外には多くの人々が列を成した。
高まる熱気の中ガウフがコートに姿を現すと、スタンドからは「ハッピーバースデー」の合唱が、自然発生的に沸き起こる。加藤たちにとって完全なるアウェーの状況で、3度目の対戦の火ぶたが切られた。
今回の対戦が決まった時、加藤は「ガウフのポジションが良い」と、世界2位ペアの強さの精髄に触れていた。
「いつも打つところに、彼女が居る。なので、裏をかけたら……」
そう口にしていた攻略への糸口を、試合開始直後のブレークでつかみ取った。とりわけ加藤が効果的に用いたのが、バウンド後、コートを横切るように鋭くサイドへと切れていくアングルショットだ。
このボールも、一端の帰国で磨いた武器の一つ。
「私はセンターに打つことが多いんですけど、今日はアングルに打って相手の態勢を崩そうと思っていた。結構それは効いていたと思うし、それも日本で練習したことでした」
そう明かす彼女の言葉と表情に、確信と自信が滲む。偶然や成り行きではなく、分析に根差した練習の成果。だからこそ、第1セットを奪った後に第2セットを落としても、「これは勝てると思えていた」のだろう。それはスコア面では似ていても、前回のドバイ時には無かった感覚だったという。
加藤未唯/アルディラ・スチアディが、BNPパリバ・オープン第2シードのココ・ガウフ/ジェシカ・ペグラと対戦するのは、今季早くも3度目のことだ。
初対戦は、今年1月の全豪オープン3回戦。「そこまで差は感じなかった」(加藤)ながらも、ストレートの敗戦だった。
2度目の対戦は、わずか3週間後のドバイ大会(WTA500)の2回戦。ファーストセットを奪い、第2セットも先にブレークし勝利に肉薄するも、6-4、6-7(5)、2-10で逆転負けを喫した。
このドバイ大会の後、加藤は当初の渡米予定を取りやめて、日本へと戻っている。
「彼女たち対策というか、一度、見つめ直したい事ことがあったので帰国したんです」
その決断の背景には、「自分たちに有利な状況だったのに、ここで勝てなかったらいつ勝つの?」と自問自答するほどの、深い落胆もあったという。
加藤の言う「有利な状況」とは、ガウフとペグラのタフスケジュール。二人は、前週のドーハ大会で最終日まで勝ち残っていたため、疲労や調整不足もあるなかでの対戦だった。それでも逆転を喫した事実に、うな垂れ辿った岐路でもある。
それでも彼女の中にあった希望が、「拠点で練習すれば、いつも何か一つは新しくできることが増えている」という経験。だからこそこの時も、帰国し技を磨き直した。
そうして切った再スタートの大会こそが、アメリカ開催のBNPパリバ・オープン。そこで3度、ガウフ/ペグラと当たったのは、来るべき巡り合わせだったかもしれない。加えるならこの日は、ガウフの19歳の誕生日。客席にはファンが溢れ、入口の外には多くの人々が列を成した。
高まる熱気の中ガウフがコートに姿を現すと、スタンドからは「ハッピーバースデー」の合唱が、自然発生的に沸き起こる。加藤たちにとって完全なるアウェーの状況で、3度目の対戦の火ぶたが切られた。
今回の対戦が決まった時、加藤は「ガウフのポジションが良い」と、世界2位ペアの強さの精髄に触れていた。
「いつも打つところに、彼女が居る。なので、裏をかけたら……」
そう口にしていた攻略への糸口を、試合開始直後のブレークでつかみ取った。とりわけ加藤が効果的に用いたのが、バウンド後、コートを横切るように鋭くサイドへと切れていくアングルショットだ。
このボールも、一端の帰国で磨いた武器の一つ。
「私はセンターに打つことが多いんですけど、今日はアングルに打って相手の態勢を崩そうと思っていた。結構それは効いていたと思うし、それも日本で練習したことでした」
そう明かす彼女の言葉と表情に、確信と自信が滲む。偶然や成り行きではなく、分析に根差した練習の成果。だからこそ、第1セットを奪った後に第2セットを落としても、「これは勝てると思えていた」のだろう。それはスコア面では似ていても、前回のドバイ時には無かった感覚だったという。