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「その時は死ぬかと思った」元世界9位のフォニーニがパニック発作を激白「泣きそうになりながら目が覚めた」<SMASH>

中村光佑

2023.04.11

メンタルヘルスの不調に悩まさていたフォニーニは、瞑想や呼吸法を取り入れ、心身の負担を解消している。(C)Getty Images

 2011年の全仏オープンでベスト8に進出し、男子テニスツアーでも通算9度の優勝を誇る元世界ランク9位のファビオ・フォニーニ(イタリア/現97位)が、母国イタリアのスポーツメディア『 l'Ultimo Uomo』のインタビューに登場。そのなかで過去にパニック発作のような症状に襲われたことを告白した。

 過酷なスケジュールの中で、常に結果を残さなければならないプロテニス選手は、それだけ心身の負担も大きく、ここ最近はメンタルヘルスの不調に悩まされるプレーヤーも徐々に増えつつある。

 実はトップ10を経験したフォニーニもその内の1人で、ある日の夜に妻で元女子世界10位のフラビア・ペネッタさん(イタリア/41歳)の隣で「泣きそうになりながら目が覚めてしまった」ほどの不安発作に見舞われたことがあったというのだ。

 今回のインタビューでフォニーニは当時の具体的な症状をこう説明した。

「それはパリに1年間滞在していた時のことだった。その時は死ぬかと思った。(ひどく)汗をかき、頻脈があった。左腕の感覚がなく、心臓発作かと思った。でもそれは実際にはパニック発作だった。その翌日に施設に入ると、何を食べていいのかわからない、どこに行けばいいのかわからない、呼吸がうまくできない、そんな状態だった」
 
 これまでに経験したことがないような苦しみを味わったフォニーニは「コートの外でこんな風に苦しみたくない」という思いから、「このままではいけないと思って、自分の心の奥底まで入り込んで解決策を見出そうとした」という。

 そのなかで彼は「もし過去に戻れるとしたら、すぐにでもメンタル面をもっともっと鍛えたい。もしもそういう努力を、身体を鍛えるのと同じように継続的にやっていたら、あらゆる面でもっと良くなっていたはずだ」と後悔の念も抱いたと明かす。

 そして、「現在では、その当時から始めた瞑想の練習や呼吸法を取り入れており、心理的な面でもつらい気持ちになった時は自分が一番いいと思う専門医に相談するようにしている。手首が痛くなったら自分にベストな医者に行くのと同じようにしている」と話した。

 ここ最近は最高峰のグランドスラム(四大大会)を含め早期敗退が続いているフォニーニ。2回戦敗退を喫した先週の「エストリル・オープン」(ポルトガル・エストリル/ATP250/クレーコート)の記者会見でも「35歳になって精神的に難しくなっている」と語っていたが、まだまだ今後も持ち前のセンスあふれるプレーでツアーを盛り上げてほしいところ。得意のクレーコートシーズンで再び調子を取り戻していけるか注目だ。

文●中村光佑

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