海外テニス

19歳にしてケガが相次ぐアルカラスを重鎮コナーズ氏が懸念「今後数年間でどうなってしまうのか?」<SMASH>

中村光佑

2023.04.13

アルカラス(左)のプレーは動きが激しいだけに身体に負担がかかる。テニス界のレジェンド、コナーズ氏(右)は19歳の俊才のフィジカルを心配する。(C)Getty Images

 世界中のファンが目を見張るほどの活躍を見せている19歳のカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランク2位)。先月初旬の「BNPパリバ・オープン」では四大大会に次ぐマスターズ1000シリーズ3勝目を手にし、その翌週の「マイアミ・オープン」(ATP1000)でもベスト4に進出するなど相変わらずの強さを発揮している。

 だが一方で最近のアルカラスはケガで大会を欠場するケースが増加傾向にあり、昨年11月に出場した「ロレックス・パリ・マスターズ」(ATP1000)での腹部負傷を皮切りにフィジカルコンディションの不調に悩まされている。オフシーズンの練習中には右太ももを痛め、今年1月のテニス四大大会「全豪オープン」は欠場を余儀なくされた。

 さらには現在開催中の「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月9日~16日/モナコ・モンテカルロ/クレーコート/ATP1000)についても「左手の外傷性関節炎と背筋の違和感」を理由に出場辞退。まだ19歳と若いにもかかわらずケガ続きの彼に、ファンやメディアの間で心配の声も数多く上がっている。

 1970年代から80年代にかけて活躍した元世界王者のジミー・コナーズ氏(アメリカ/70歳)も、ニューヒーローの将来を憂慮している人物の1人だ。先日自身が配信するポッドキャストに出演した同氏は、アルカラスと同郷のレジェンド、ラファエル・ナダル(現15位)が同じく数々のケガに苦しんでいる現状を踏まえ、以下のようにコメントした。
 
「彼はまだ19歳と若いので、今が状態としては一番いい時だと思うし、体力もある。その若さを大いに生かすべきだろう。ただそうはいっても、口で言うのは簡単だが、彼の動きやボールを追いかける姿は、身体に大きな負担がかかっている。ナダルがそうであるように、(全力プレーによって)どれだけの精神的・肉体的なプレッシャーがかかっているのかは私にもよくわかる」

 またコナーズ氏は今回新たに負った左手の外傷性関節炎が今後のアルカラスのパフォーマンスに与える影響を懸念している。

「彼が今、それに直面しているとしたら、今後数年間でどうなってしまうのだろうか? 私は股関節置換術やヒザの手術などについては知っているが、外傷性関節炎がどういうものであるかはよく知らない」

 練習も試合も常に全力で取り組む姿勢が高く評価されているアルカラスだが、まだまだツアーでの経験が浅い中で長いシーズンを最後まで戦い抜くためには、自分自身をうまくコントロールする術を身に付ける必要があるのかもしれない。とにかくこれ以上ケガが増えないことを祈るばかりである。

文●中村光佑

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