19歳にして世界中のファンが目を見張る活躍を見せている男子テニス前世界王者のカルロス・アルカラス(スペイン/現世界ランク2位)。昨年9月の全米オープンにおけるグランドスラム(四大大会)初優勝を含め、すでにツアータイトル獲得数は8とプロデビュー以来、驚異的な強さを発揮している。今季も3月初旬のBNPパリバ・オープン(ATP1000)でマスターズ3勝目を飾るなど、その勢いはとどまるところを知らない。
だが一方で最近のアルカラスはケガが増加傾向にあり、昨年11月の「ロレックス・パリ・マスターズ」(ATP1000)での腹部負傷を皮切りにフィジカルコンディションの不調に悩まされている。オフシーズンの練習中には右太ももを痛め、今年1月の四大大会「全豪オープン」は出場を辞退。直近では先週の「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000)を「左手の外傷性関節炎と背筋の違和感」を理由に欠場したばかりだ。
若くしてケガが続いているニューヒーローの将来を憂慮する声も多く上がっており、先日には男子テニス界の重鎮ジミー・コナーズ氏(アメリカ/元1位/70歳)も自身のポッドキャストで「そのケガ(左手の外傷性関節炎)を抱えているとすれば、彼は今後どうなってしまうのだろうか?」と心配。またアルカラスが試合も練習も常に全力投球する点を懸念し、「彼の動きやボールを追いかける姿は、身体に大きな負担がかかっている」とも話していた。
2019年からアルカラスのコーチを務める元世界1位のファン・カルロス・フェレーロ氏(スペイン/43歳)も"全力プレー"が愛弟子のフィジカルに大きな影響を及ぼしていることを理解している。一方で同氏はその全力プレーこそがアルカラスならではのスタイルであると強調。「彼がこのスピードで成長できたのは、常に大きなことを成し遂げようと考えてきたからだ」と前置きし、以下のように続けた。
「コートにいる時は、全てのことが非常にスピーディーに展開されるから、物事が流れていくスピードを落として、走って追いかけるボールとそうしないボールを選択するのは難しい。彼のDNAは、たとえ追いつくのが不可能だと思われるショットが来たとしても、最後まで走り続け、全てのボールを拾おうとする。チームのメンバーは、彼に特定のショットを拾わないことを要求することはあるが、彼が常にボールを拾いにいかないとなれば複雑に感じてしまう」
また体格や体力面をはじめ全てが未完成であるからこそ、フェレーロ氏は「まだ限界を設けることはできない」と語る。これについて同氏は「もし彼が自分を過信して正しいことをしなくなったら、(レベル的に)一歩後退してしまうだろう」と簡潔に説明した。
ケガの状態が心配されていたアルカラスだったが、今週母国で行なわれている「バルセロナ・オープン」(4月17日~23日/スペイン・バルセロナ/クレーコート/ATP500)には予定通り第1シードで出場を果たしている。現地4月18日に実施された2回戦では世界79位のヌーノ・ボルヘス(ポルトガル)に6-3、6-1で快勝し、3回戦へ駒を進めた。
文●中村光佑
【連続写真】動かされても力強く返球したアルカラスのフォアハンド「30コマの超連続写真」
だが一方で最近のアルカラスはケガが増加傾向にあり、昨年11月の「ロレックス・パリ・マスターズ」(ATP1000)での腹部負傷を皮切りにフィジカルコンディションの不調に悩まされている。オフシーズンの練習中には右太ももを痛め、今年1月の四大大会「全豪オープン」は出場を辞退。直近では先週の「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000)を「左手の外傷性関節炎と背筋の違和感」を理由に欠場したばかりだ。
若くしてケガが続いているニューヒーローの将来を憂慮する声も多く上がっており、先日には男子テニス界の重鎮ジミー・コナーズ氏(アメリカ/元1位/70歳)も自身のポッドキャストで「そのケガ(左手の外傷性関節炎)を抱えているとすれば、彼は今後どうなってしまうのだろうか?」と心配。またアルカラスが試合も練習も常に全力投球する点を懸念し、「彼の動きやボールを追いかける姿は、身体に大きな負担がかかっている」とも話していた。
2019年からアルカラスのコーチを務める元世界1位のファン・カルロス・フェレーロ氏(スペイン/43歳)も"全力プレー"が愛弟子のフィジカルに大きな影響を及ぼしていることを理解している。一方で同氏はその全力プレーこそがアルカラスならではのスタイルであると強調。「彼がこのスピードで成長できたのは、常に大きなことを成し遂げようと考えてきたからだ」と前置きし、以下のように続けた。
「コートにいる時は、全てのことが非常にスピーディーに展開されるから、物事が流れていくスピードを落として、走って追いかけるボールとそうしないボールを選択するのは難しい。彼のDNAは、たとえ追いつくのが不可能だと思われるショットが来たとしても、最後まで走り続け、全てのボールを拾おうとする。チームのメンバーは、彼に特定のショットを拾わないことを要求することはあるが、彼が常にボールを拾いにいかないとなれば複雑に感じてしまう」
また体格や体力面をはじめ全てが未完成であるからこそ、フェレーロ氏は「まだ限界を設けることはできない」と語る。これについて同氏は「もし彼が自分を過信して正しいことをしなくなったら、(レベル的に)一歩後退してしまうだろう」と簡潔に説明した。
ケガの状態が心配されていたアルカラスだったが、今週母国で行なわれている「バルセロナ・オープン」(4月17日~23日/スペイン・バルセロナ/クレーコート/ATP500)には予定通り第1シードで出場を果たしている。現地4月18日に実施された2回戦では世界79位のヌーノ・ボルヘス(ポルトガル)に6-3、6-1で快勝し、3回戦へ駒を進めた。
文●中村光佑
【連続写真】動かされても力強く返球したアルカラスのフォアハンド「30コマの超連続写真」