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海外テニス

欧州ジュニア大会で活躍中の“天才少女”宮澤紗希乃が海外の大手マネージメント会社と契約した理由<SMASH>

内田暁

2023.04.16

フランス開催のジュニア大会「OPEN SUPER 12」で決勝に進出した宮澤(右)。隣はスポーツマネージメント会社「スターウィング」スカウトのファビオ氏(左)。写真提供:宮澤家

フランス開催のジュニア大会「OPEN SUPER 12」で決勝に進出した宮澤(右)。隣はスポーツマネージメント会社「スターウィング」スカウトのファビオ氏(左)。写真提供:宮澤家

 その日は、彼女にとって小学6年生の始まりの日だった。

 授業を終え、迎えにきた母親の車に駆けよると、ランドセルを後部座席に丁寧に置いて車に飛び乗る。まだ皮の光沢も残る、6年生にしてはきれいなランドセル。そのことを本人に伝えると、「あまり使ってないからかな?」と、彼女は少し恥ずかしそうに笑った。

 彼女が乗る車が向かった先は、千葉県白子町の“ノアテニスアカデミー千葉白子”である。宮澤紗希乃が、今も父親が住む茨城県つくば市を離れ、母親と一緒に白子に住むようになったのは2年前。ノアインドアステージ株式会社が、新たにジュニア育成・強化用の施設を、この地にオープンする直前だった。

 お昼過ぎにアカデミーの宿舎に戻った時、リビングルームのモニターには、テニスの試合映像が流れていた。それは今年2月に、宮澤が参戦したフランス開催のジュニア大会「OPEN SUPER 12」の決勝戦。ヨーロッパ中の“天才少年少女”たちが集うこの大会で、宮澤は決勝進出。最後は敗れたものの、ラトビア人選手との頂上決戦では、集った200人前後の地元テニスファンを、独創的な攻撃テニスで沸かせてみせた。
 
 そしてこの日——。彼女と母親が急いで白子の宿舎に戻り、つくばからは父親も駆けつけたのは、ヨーロッパからの客人と面会し、彼が持ってきた契約書にサインをするためである。

 その客人とは、ロンドンに拠点を置くスポーツマネージメント会社「StarWing(スターウィング)」の副社長。ヤニック・シナーやガエル・モンフィス、スタン・ワウリンカにマリア・サッカリら錚々たる面々を抱えるエージェントが、11歳の少女との契約書を携え、日本まで足を運んだのである。

 11歳のプレーヤーとエージェント契約を締結することは、欧州のテニスもしくはスポーツ界では、さして特別なことではないのか――。その問いに“トムさん”こと副社長のトミスラブ・ポルヤック氏は人の良さが迸る丸顔に笑みを湛えて、「ない話だとは言いません。でも、珍しいことであるのも確かです」と答えた。

「うちのスカウトのファビオ(・デラ・ヴィダ)は、この業界では伝説的な“目利き”なんです。彼はかつてIMGで働き、ゴラン・イバニセビッチやモニカ・セレスら多くのトップ選手を担当していました。

 ファビオが『この選手と契約しよう』と言った時に、私が異論をはさむことはありません。絶対的に信頼していますから。だから今回も、ファビオが勧めるのだから間違いないと思って来日しました」
 
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