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【テニスギア講座】ストリングの太さによって何が変わる? 耐久性や飛び、打球感への影響を知ろう/前編<SMASH>

松尾高司

2023.04.23

テニス専門店には膨大な種類のストリングが並ぶ。各モデルごとに太さのバリエーションがあり、どれが自分に最適かを探すのは大変だが、それもテニスの楽しさの一つだろう。写真:松尾高司

 今回のテーマは「ストリング(通称ガット)の太さ」です。テニスショップの壁には、たくさんの種類のストリングが並んでいます。統一パッケージのブランドもありますが、だいたい機種ごとにデザインが違う……のに、同じパッケージが幾つもかかっていたりします。

 それは「ストリングの太さ」違いのバリエーションです。同機種のストリングは、基本的に素材も構造も同じですが、太さは幾つかのバリエーションがあるのが普通です。太さが違うと、いったい何が変わってくるのでしょう?

 現在は直径1.25~1.30ミリが主流であり、ポリエステル系の細いものは1.05ミリまであります。また逆にナチュラルガットの耐久モデルは1.40ミリも残っています。

 基礎知識として知っておいてほしいのが「ゲージ=太さ」という意味ではないということ。今日ではメーカーさんさえも混同していますが、「ゲージ」というのは、米国ワイヤゲージ規格による表記法で使われるべきであり、「1.35」「1.25」などのミリ単位基準で太さを表示したものを、「ゲージは1.35」などと言うのは的確ではありません。

 ゲージ表記では、数値が大きくなるほど細くなるため、勘違いしないでください。ミリ表記との対応基準は、だいたいこんな感じです。

1.20ミリ→17
1.25ミリ→16L
1.30ミリ→16
1.35ミリ→15L
1.40ミリ→15

 太さの数値が表す意味は、素材にかかわらず「太いものは耐久性がある」ということです。ただそれだけではなく、反発性能や打球フィーリングも、太さによって微妙に違いがあるので、耐久性能と打球性能との両方について知っておかなければなりません。
 
 太さによる性能的な違いには、ある程度の法則があります。

 まず、同モデルのストリングでは「細いほど反発性が高く、太いほど飛びが抑えられる」と言えます。というのは「ストリングの伸縮性」の差があり、細いほど伸縮しやすいため、打球はよく飛びます。逆に考えると、インパクトのわずかな違いが打球結果に反映しやすいということにもなります。

 また打球フィーリングでは、細い方が俊敏でセンシティブな反発性能を発揮し、インパクトの感触も伝わりやすいです。

 反対に太くなればなるほど、反発の反応と打球感は徐々に鈍くなります。これについてはプレーヤー個々人の好みでしょう。

 こう言うと「細い方がいいのね!」と思われがちですが、細くなればストリング1本あたりへの負担が大きくなり、切れやすくなることも承知していなければなりません。

「飛び」「感触」そして「耐久性」のバランスを考え、自分はどのパフォーマンスを重視するのかをよく考慮して、最も適切だと判断したストリングを選びましょう。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2021年7月号より抜粋・再編集

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