テニスボールはラケットを使って打ちます。けれどもボールと直接触れるのは、ラケットに張られている「ストリング(糸)」です。そのためストリングの知識を深めることは、テニスの出来を左右するとても大切なことなのです。
知っているようで、あまり知られていないストリングのこと。そこでストリングやラケットに関する素朴な疑問をプロのストリンガー(ストリングを張る人)にぶつけてみました。
今回のテーマは「極細ストリング」についてです。
一般的に「極細」と呼ばれるゲージ(太さ)が「1.05~1.15ミリ」のストリングを使うメリットや、どんなタイプのプレーヤーに適しているのかをストリンガーに訊いてみました。
◆ ◆ ◆
まず、メリットですが極細ストリングは、打球時に面のたわみが大きくボールをつかむ力が強くなります。そのたわみから戻る力が強いため、ボールが良く飛ぶようになります。
そして、一番の特徴はストリングが細いので、ボールの引っかかりが良くなり、スピン量が上がります。
次にデメリットですが、極細ストリングはストリングの動きが良いため、耐久力が低く普段125ゲージのストリングが長持ちする方でもすぐに切れてしまうでしょう。
ボールコントロール性能も太いゲージのストリングに比べて弱く、自分で強打した時のボールコントロールが難しくなり、アジャストした時の面のぶれが大きくボールが荒れやすくなります。
こうした極細ストリングのメリットを生かすには、テンションを普段張っている強さか、それより2~3ポンドほど下げてください。固く張ると面のたわみが制限されて飛びにくくなるので、極細ストリングの良さが感じにくくなります。また、ストリングが切れるスピードも早くなります。
ボールを毎回擦り上げて打つ方はボールが上がり過ぎたり、回転がかかり過ぎたりして、安定しにくくなるため、普段フラットにラケットを振っていく方に向いています。フラットにボールを打つと、ボールにパワー+スピンが加わり、バウンド後に伸びるボールを打つことができます。
また、スピンをかけるのが苦手な方や、ショートアングルなど角度をつけたボールでコートを広く使ってプレーしたい方にもお勧めです。
極細ストリングの食いつきの良い打球感やスピン性能は、通常のストリングにはないものがあります。自分のプレーの幅や、新しい発見のためにも是非一度試してみてください。
解説:鈴木貴也(テニスサポートセンター/2021年東京五輪ストリンギングチームメンバー)
取材協力●テニスサポートセンター
構成●スマッシュ編集部
※2023年2月号より抜粋・再編集
【画像】ストリング面がたわむ! 3/1000秒の瞬間を捉えたスーパーインパクト集!!
知っているようで、あまり知られていないストリングのこと。そこでストリングやラケットに関する素朴な疑問をプロのストリンガー(ストリングを張る人)にぶつけてみました。
今回のテーマは「極細ストリング」についてです。
一般的に「極細」と呼ばれるゲージ(太さ)が「1.05~1.15ミリ」のストリングを使うメリットや、どんなタイプのプレーヤーに適しているのかをストリンガーに訊いてみました。
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まず、メリットですが極細ストリングは、打球時に面のたわみが大きくボールをつかむ力が強くなります。そのたわみから戻る力が強いため、ボールが良く飛ぶようになります。
そして、一番の特徴はストリングが細いので、ボールの引っかかりが良くなり、スピン量が上がります。
次にデメリットですが、極細ストリングはストリングの動きが良いため、耐久力が低く普段125ゲージのストリングが長持ちする方でもすぐに切れてしまうでしょう。
ボールコントロール性能も太いゲージのストリングに比べて弱く、自分で強打した時のボールコントロールが難しくなり、アジャストした時の面のぶれが大きくボールが荒れやすくなります。
こうした極細ストリングのメリットを生かすには、テンションを普段張っている強さか、それより2~3ポンドほど下げてください。固く張ると面のたわみが制限されて飛びにくくなるので、極細ストリングの良さが感じにくくなります。また、ストリングが切れるスピードも早くなります。
ボールを毎回擦り上げて打つ方はボールが上がり過ぎたり、回転がかかり過ぎたりして、安定しにくくなるため、普段フラットにラケットを振っていく方に向いています。フラットにボールを打つと、ボールにパワー+スピンが加わり、バウンド後に伸びるボールを打つことができます。
また、スピンをかけるのが苦手な方や、ショートアングルなど角度をつけたボールでコートを広く使ってプレーしたい方にもお勧めです。
極細ストリングの食いつきの良い打球感やスピン性能は、通常のストリングにはないものがあります。自分のプレーの幅や、新しい発見のためにも是非一度試してみてください。
解説:鈴木貴也(テニスサポートセンター/2021年東京五輪ストリンギングチームメンバー)
取材協力●テニスサポートセンター
構成●スマッシュ編集部
※2023年2月号より抜粋・再編集
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