テニスボールはラケットを使って打ちます。けれどもボールと直接触れるのは、ラケットに張られている「ストリング(糸)」です。そのためストリングの知識を深めることは、テニスの出来を左右するとても大切なことなのです。
知っているようで、あまり知られていないストリングのこと。そこでストリングやラケットに関する素朴な疑問をプロのストリンガー(ストリングを張る人)にぶつけてみました。
今回のテーマは「ベテラン大会で活躍する人に共通するセッティング」について。コートで存在感を放つベテランプレーヤーたちは、果たしてどんな工夫をしているのでしょうか、ストリンガーに訊いてみました。
◆ ◆ ◆
ベテラン大会は35歳以上から出場でき、大会も年代で別れ最高は80歳以上になります。年齢によって、筋力や体力が異なりますので、年代に合わせた選手向けのセッティングをご紹介しましょう。
まず、30代のプレーヤーについてですが、まだボールを飛ばす筋力があり、リカバリー力も高いため、ポリエステル・ストリング単体のセッティングをお勧めしています。インパクトの力が強いので、ポリにすることで面安定性が高まり、ボールを治めやすくなります。テンションも40ポンド後半から50ポンド前半を推奨しています。
40代から50代になると、ナイロンやナチュラルをポリエステルと組み合わせたハイブリッドをお勧めしています。縦にナイロンマルチやナチュラル、横糸にポリを張るハイブリットにすることにより、ポリ単体に比べると楽にボールが飛ぶので、厚くインパクトした際の面安定感が増します。
この年代で考えないといけないのが、腕への負担軽減です。ポリは、インパクト時の衝撃がナチュラルやナイロンに比べて強いので、1試合の打球数の多いベテラン大会では、相当な負担になります。
この点でも振動吸収性に優れたハイブリットが適しています。テンションは、20代の頃よりも年齢に応じて徐々に下げると良いでしょう。40ポンド以下でも大丈夫です。
60代からはどうしても筋力が衰えるので、ポリを使うこと避け、ナチュラルやナイロンで張ることをお勧めしています。ナイロンでは頼りないと感じる場合には、ナチュラルだと飛び過ぎてしまうので、ナチュラルとナイロンモノのハイブリッドをお勧めしています。
どんなに練習をしも徐々に筋力は落ちてしまいます。楽にプレーできることを考えて、年齢に応じたセッティングにしましょう。身体への負担を少なくすることで、長い期間テニスを楽しむことができます。
解説:鈴木貴也(テニスサポートセンター)
取材協力●テニスサポートセンター
構成●スマッシュ編集部
※2022年11月号より抜粋・再編集
【画像】ストリング面がたわむ! 3/1000秒の瞬間を捉えたスーパーインパクト集!!
知っているようで、あまり知られていないストリングのこと。そこでストリングやラケットに関する素朴な疑問をプロのストリンガー(ストリングを張る人)にぶつけてみました。
今回のテーマは「ベテラン大会で活躍する人に共通するセッティング」について。コートで存在感を放つベテランプレーヤーたちは、果たしてどんな工夫をしているのでしょうか、ストリンガーに訊いてみました。
◆ ◆ ◆
ベテラン大会は35歳以上から出場でき、大会も年代で別れ最高は80歳以上になります。年齢によって、筋力や体力が異なりますので、年代に合わせた選手向けのセッティングをご紹介しましょう。
まず、30代のプレーヤーについてですが、まだボールを飛ばす筋力があり、リカバリー力も高いため、ポリエステル・ストリング単体のセッティングをお勧めしています。インパクトの力が強いので、ポリにすることで面安定性が高まり、ボールを治めやすくなります。テンションも40ポンド後半から50ポンド前半を推奨しています。
40代から50代になると、ナイロンやナチュラルをポリエステルと組み合わせたハイブリッドをお勧めしています。縦にナイロンマルチやナチュラル、横糸にポリを張るハイブリットにすることにより、ポリ単体に比べると楽にボールが飛ぶので、厚くインパクトした際の面安定感が増します。
この年代で考えないといけないのが、腕への負担軽減です。ポリは、インパクト時の衝撃がナチュラルやナイロンに比べて強いので、1試合の打球数の多いベテラン大会では、相当な負担になります。
この点でも振動吸収性に優れたハイブリットが適しています。テンションは、20代の頃よりも年齢に応じて徐々に下げると良いでしょう。40ポンド以下でも大丈夫です。
60代からはどうしても筋力が衰えるので、ポリを使うこと避け、ナチュラルやナイロンで張ることをお勧めしています。ナイロンでは頼りないと感じる場合には、ナチュラルだと飛び過ぎてしまうので、ナチュラルとナイロンモノのハイブリッドをお勧めしています。
どんなに練習をしも徐々に筋力は落ちてしまいます。楽にプレーできることを考えて、年齢に応じたセッティングにしましょう。身体への負担を少なくすることで、長い期間テニスを楽しむことができます。
解説:鈴木貴也(テニスサポートセンター)
取材協力●テニスサポートセンター
構成●スマッシュ編集部
※2022年11月号より抜粋・再編集
【画像】ストリング面がたわむ! 3/1000秒の瞬間を捉えたスーパーインパクト集!!