海外テニス

ウクライナ選手がサバレンカとの握手拒否で会場からブーイング!「正直驚いたし、恥ずべきこと」<SMASH>

内田暁

2023.05.29

開戦以降、ロシアやベラルーシ選手との握手拒否を一貫してきたコスチュク(右下)は、今大会でもサバレンカ(中)との握手を拒んだ。(C)Getty Images

 豪快にウイナーを叩き込んだ勝者は、両手を掲げた後にネットへ歩みより、そして敗者は真っすぐに、主審の方へと進んでいった——。

 勝者は、ベラルーシのアリーナ・サバレンカ。敗者は、ウクライナのマルタ・コスチュク。

 コスチュクはサバレンカとの握手を拒否してベンチに戻り、その間、サバレンカは観客に挨拶すべくコートの中央へと進んだ。

 観客席の一部からは、ブーイングがコートへと向けられる。そのブーイングをサバレンカは、「自分に向けられた」と思った。だが、コスチュクがコートを去る際にブーイングが一層大きくなったため、矛先は対戦相手に向けられていると知る。

 改めて四方の客席に向け深く頭を下げたサバレンカは、「感情的に難しい試合だった。ブーイングは自分に向けられたと思ったので、混乱したし、そうではないと知り少し驚きもした」とコート上で語った。

 世界39位のコスチュクは、昨年2月末の開戦以降、反ロシア・ベラルーシの旗幟を最も鮮明にしてきた一人。ロシアやベラルーシの選手との握手拒否も、これまで一貫してきたことだ。

 世界2位のサバレンカも、コスチュクのこれまでの姿勢を知る。試合後の会見でも改めて、「彼女が私と握手しないことは、想定内だった」と穏やかに語った。

 そのサバレンカの声と表情に緊張が走ったのが、ウクライナ人記者から、次のような質問が向けられた時である。
 
「あなたは今大会後に、世界1位になる可能性があります。世界1位は人々のお手本であり、世界に正しいメッセージを送る責務があると思います。

 あなたは戦争の話題になると、ウクライナ人選手たちがあなたを"憎んでいる"のだと言い、問題をすり替えてきました。でもウクライナの選手たちが知りたいのは、あなた自身の戦争に対する意見です。はぐらかすことなく、あなたの意志を聞かせてください」

 高ぶる思いを自制しつつ向けられたこの問いに、サバレンカは「私は、彼女たちが私を憎んでいるとは言っていない」と前置きして、こう続けた。

「この世の中に…ロシアやベラルーシにも、戦争を望んでいる人なんていない。なぜ戦争に賛同できる?まともな人間なら、決してそんなことはしない。

 こんな当然のことを、声を大にして毎回言う必要があるの? 

 もし私が言うことで戦争が止まるなら、もちろん言う。でも残念だけれど、事は私の手にあまる。これは私たちだけではなく、ウクライナが関わることでもあるのだから」
 
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サバレンカのコメント受けコスチュクは怪訝そうな表情を浮かべる