日本のテニスプレーヤー、加藤未唯を支援する輪が広がっている。

　現地６月４日、四大大会「全仏オープン」の女子ダブルス３回戦で加藤はスチアディ（インドネシア）とのペアでマリー・ボウズコワ／サラ・ソリベストルモ（チェコ／スペイン）組と対戦。その第２セットの第５ゲームで、加藤の打った球がボールガールの頭部を直撃。もちろん故意ではなかったが、主審と大会側は結果的に危険な行為だったと判断し、加藤に失格処分を言い渡した。

　加藤自身はSNSで謝意を伝えるとともに、大会側から賞金とポイントの剥奪があった事実を報告。ファンや欧米メディアからは異を唱える意見が相次ぎ、大会に出場している男女のテニス選手たちからも励ましやエールが数多く届いた。

　なかでも、公の場で猛然とその不当性に怒りを露にしたのが、地元フランス出身で実力派の女子選手、アリーゼ・コルネだ。『L’Quipe』紙や『20minutes』などがコメントを伝えている。

　記者会見の場に立った33歳は「まったく不公平で酷いジャッジだと思う。大会側が彼女に賞金を返すことをただ願うばかりだ」と語り出すと、堰を切ったように想いが溢れ出た。
  「本当に起こってはならない事態よ。昨日（日曜日）の場面は不公平の極み。そう、カトウのケース！　彼女はずっと泣いていて、まるで生きていること自体を謝っているかのようだった。それが失格だなんて酷い。そのことを考えるだけで、何もかもをぶち壊したくなるほどよ。私は不公平が許せない。レフェリーは対戦相手の選手たちに影響されたのだろう。大会側は彼女に謝罪すべきよ。失格なんてあり得ない。罰金ならまだしも、試合途中に失格って...」

　さらに怒りが収まらないコルネは、「いろんな意味で厳しくなりすぎている。どこかのタイミングで結束して『ストップ！』と叫ばなければならない。これから彼ら（大会側）に『賞金を没収しないであげて』と言いに行くつもりよ」と明かし、「失格にすべきは審判よ。ひとりの女子選手の檜舞台を台無しにした。故意でなくボールが当たっただけなのにね。ビデオを100回見ても疑惑など生じない。なぜ彼らはビデオのチェックさえしなかったの？」と疑問を呈した。

　加藤は失格となった翌日、裁定を不服としてグランドスラム側を提訴。プロテニス選手協会も「失格とする決定は、不当に釣り合わないものであり、不公平だった」との声明を発表した。まだ事態は収束しておらず、大会主催側のリアクションも注目される。

構成●THE DIGEST編集部

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