テニス四大大会「全仏オープン」(フランス・パリ/クレーコート)は大会最終日の現地6月11日に男子シングルス決勝が行なわれ、第3シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランク3位)が、第4シードのキャスパー・ルード(ノルウェー/同4位)に7―6(1)、6-3、7-5のストレートで勝利。同大会2年ぶり3度目の優勝を飾るとともに、男子テニス史上最多となるグランドスラム23度目の優勝を成し遂げた。
この結果ジョコビッチは大会閉幕後に更新された世界ランキングで約1か月ぶりに1位へと返り咲き。クレーシーズンを最高の形で締めくくった。
そんな男子テニス界のスーパースターを2019年から指導してきたコーチのゴラン・イバニセビッチ氏(51歳)は決勝戦後の記者会見で、持ち前の粘り強さを発揮して頂点に立ったジョコビッチの飽くなき闘争心や驚異的なフィジカルの強さを独特の表現を交えながら称賛。また今回の優勝が今後に向けてのさらなるモチベーションにつながるとしてこう語った。
「彼は全てを楽しんでいる。彼はまだ身体の調子が良くてケガもない。小さなケガはあるけれど、深刻なものは抱えていない。彼はすごいよ。コート上では猫のような動きをしていて、まるで忍者のようでもある。時折彼を見ていると、とても魅力的な選手だと思うこともある。これで23度目のグランドスラム優勝を手にしたわけだが、今後も四大大会で24度目、25度目とより多くの優勝回数を重ねるためのモチベーションを見出すだろう」
今大会の準決勝では20歳にしてすさまじい活躍を見せているカルロス・アルカラス(スペイン/大会時1位/現2位)との対決が実現し、ファンの間では"事実上の決勝戦"と称されるほど試合開始前から大きな注目を集めていた。前評判ではジョコビッチがクレーシーズンに入って以降右ヒジの故障で調子を落としていたことから、アルカラスの勝利を予想していた人が非常に多かったのだ。
だがイバニセビッチ氏は「人々がなぜノバクが負けると予想していたのかがよくわからなかった」という。その言葉を裏付けるかのように序盤から試合の主導権を握ったのはジョコビッチの方で、第2セットこそ奪われるもその後は落ち着いたプレーを見せて6-3、5-7、6-1、6-1で勝利した。またアルカラスが試合終盤で右脚のケイレンに見舞われた一方、5月に36歳を迎えたジョコビッチは特に大きなケガなく約3時間半以上にも及んだ"事実上の決勝戦"を戦い抜いてみせた。
その事実を踏まえたうえでイバニセビッチ氏は以下のようにコメントした。
「準決勝で『ノバクがカルロスに勝つチャンスはない』と言う人もいた。でも彼はノーチャンスと言われると、通常の3倍くらいハングリーになる。アルカラスの方が有利だと言っているのを新聞で見た時は、ちょっと不思議だった。そんなこと言っちゃダメだよね。なにせノバクは四大大会決勝に33回進出し、22回も優勝していたのだから。アルカラスは信じられないプレーヤーでこれから彼が何度グランドスラムを制すかはわからないが、彼が優勝候補とは言えなかっただろう。四大大会は普段のツアーの試合とは違うし、緊張もする。第3セットでカルロスに何が起こったか、皆も見ただろう」
もはや誰がジョコビッチを止めることができるのだろうか。その答えを見つけるのは非常に困難である。まだまだこの先も若手の大きな壁として立ちはだかることだろう。
文●中村光佑
【PHOTO】ジョコビッチら全仏オープン2023で奮闘する男子選手たちの厳選写真!
この結果ジョコビッチは大会閉幕後に更新された世界ランキングで約1か月ぶりに1位へと返り咲き。クレーシーズンを最高の形で締めくくった。
そんな男子テニス界のスーパースターを2019年から指導してきたコーチのゴラン・イバニセビッチ氏(51歳)は決勝戦後の記者会見で、持ち前の粘り強さを発揮して頂点に立ったジョコビッチの飽くなき闘争心や驚異的なフィジカルの強さを独特の表現を交えながら称賛。また今回の優勝が今後に向けてのさらなるモチベーションにつながるとしてこう語った。
「彼は全てを楽しんでいる。彼はまだ身体の調子が良くてケガもない。小さなケガはあるけれど、深刻なものは抱えていない。彼はすごいよ。コート上では猫のような動きをしていて、まるで忍者のようでもある。時折彼を見ていると、とても魅力的な選手だと思うこともある。これで23度目のグランドスラム優勝を手にしたわけだが、今後も四大大会で24度目、25度目とより多くの優勝回数を重ねるためのモチベーションを見出すだろう」
今大会の準決勝では20歳にしてすさまじい活躍を見せているカルロス・アルカラス(スペイン/大会時1位/現2位)との対決が実現し、ファンの間では"事実上の決勝戦"と称されるほど試合開始前から大きな注目を集めていた。前評判ではジョコビッチがクレーシーズンに入って以降右ヒジの故障で調子を落としていたことから、アルカラスの勝利を予想していた人が非常に多かったのだ。
だがイバニセビッチ氏は「人々がなぜノバクが負けると予想していたのかがよくわからなかった」という。その言葉を裏付けるかのように序盤から試合の主導権を握ったのはジョコビッチの方で、第2セットこそ奪われるもその後は落ち着いたプレーを見せて6-3、5-7、6-1、6-1で勝利した。またアルカラスが試合終盤で右脚のケイレンに見舞われた一方、5月に36歳を迎えたジョコビッチは特に大きなケガなく約3時間半以上にも及んだ"事実上の決勝戦"を戦い抜いてみせた。
その事実を踏まえたうえでイバニセビッチ氏は以下のようにコメントした。
「準決勝で『ノバクがカルロスに勝つチャンスはない』と言う人もいた。でも彼はノーチャンスと言われると、通常の3倍くらいハングリーになる。アルカラスの方が有利だと言っているのを新聞で見た時は、ちょっと不思議だった。そんなこと言っちゃダメだよね。なにせノバクは四大大会決勝に33回進出し、22回も優勝していたのだから。アルカラスは信じられないプレーヤーでこれから彼が何度グランドスラムを制すかはわからないが、彼が優勝候補とは言えなかっただろう。四大大会は普段のツアーの試合とは違うし、緊張もする。第3セットでカルロスに何が起こったか、皆も見ただろう」
もはや誰がジョコビッチを止めることができるのだろうか。その答えを見つけるのは非常に困難である。まだまだこの先も若手の大きな壁として立ちはだかることだろう。
文●中村光佑
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