度重なるケガにより長くツアーを離れていた元世界ランク4位の錦織圭(33歳)が、現在開催中の男子テニスツアー下部大会「カリビアン・オープン」で約1年8カ月ぶりに実戦に復帰。現地6月13日に行なわれたシングルス1回戦で世界333位のクリスチャン・ランモ(アメリカ)を6-2、6-4のストレートで下し、見事復帰戦を白星で飾った。
キャリア最長となる600日以上の離脱期間を経て待望のカムバックを果たした日本の大エースが、完全復活へ向けて最高のスタートを切った。左股関節と右足首の深刻なケガを不屈の精神で乗り越えた錦織。カリビアン・オープン開幕直前の記者会見では「期待も不安も大きいけど、なるべく早く勝ちたい」と語っていたが、2021年の「BNPパリバ・オープン」(ATP1000)2回戦以来となったこの日の復帰戦でいきなりそれを実現した。
試合開始直後の1ポイント目で見事なフォアハンドのリターンエースを見せた錦織は、ここからブランク明けとは思えない圧巻のプレーを披露する。ランモが回り込みフォアハンドを打ってくると、錦織はバックハンドをストレートに流しクレバーに対応。フォアでも左右に広角に打ち分けて主導権を確保した。以降も正確なリターンや隙あらば仕掛けるネットプレーを軸に効率良くポイントを重ね、2度のブレークに成功した錦織が第1セットを先取する。
第2セットでも勢いの衰えない錦織は第3ゲームで先にブレークして試合を優位に進める。だが第5ゲームで再三のブレークチャンスを逃すと、続く第6ゲームでは開き直ったランモの強打に押されてブレークバックを献上してしまう。
それでも経験豊富な錦織に全く焦りはなかった。ゲームカウント3-4で迎えた第8ゲームでポイントを先行されながら何とかサービスキープに成功すると、直後の第9ゲームでは得意のリターンから相手のミスを誘い、ストローク戦でも積極的に攻めてブレークポイントをつかむ。最後は相手がミスして値千金のブレークに成功。サービング・フォー・ザ・マッチとなった第10ゲームではブレークポイントを握られながらも何とか凌ぎ切り、マッチポイントではサーブ&ボレーを決めて価値ある勝利を手にした。
日本のファンにうれしいニュースを届けてくれた錦織は、試合後のWOWOWのインタビューで過去に何度もケガからの復帰を経験したことを踏まえつつ、無事待望のカムバックを果たせたことや終始素晴らしいプレーができたことを喜んだ。
「意外とプレーは順調だったなと思う。多分今までの復帰戦の中で一番良かったのではないかと思えるくらい良かった。湿気や緊張、色々な要因で身体はめちゃくちゃ重かったけど、何とか勝ててうれしい」
無論ケガ明けで「うまくできるかなという心配はあった」と語る錦織だが、そんな中でも「なるべく試合前からポジティブに、結果がどうであろうと、ここに立てる幸せを感じながらプレーしようと思っていた」という。そのうえで「プレー内容は良かったので、満足している」と改めて勝利の喜びを口にした。
その後日本のファンへメッセージを求められた錦織は「正直なところ静かにやらせてほしかったけど...」とジョークを交えて回答。軽妙な“錦織節”に続けて「次も頑張ります」と次戦への意気込みを示した。
2回戦ではミッチェル・クルーガー(アメリカ/258位)と対戦する錦織。次戦も伸び伸びとプレーする姿を見せてほしい。
文●中村光佑
【連続写真】スイング中に時間のズレを調節する、錦織圭のジャックナイフ
キャリア最長となる600日以上の離脱期間を経て待望のカムバックを果たした日本の大エースが、完全復活へ向けて最高のスタートを切った。左股関節と右足首の深刻なケガを不屈の精神で乗り越えた錦織。カリビアン・オープン開幕直前の記者会見では「期待も不安も大きいけど、なるべく早く勝ちたい」と語っていたが、2021年の「BNPパリバ・オープン」(ATP1000)2回戦以来となったこの日の復帰戦でいきなりそれを実現した。
試合開始直後の1ポイント目で見事なフォアハンドのリターンエースを見せた錦織は、ここからブランク明けとは思えない圧巻のプレーを披露する。ランモが回り込みフォアハンドを打ってくると、錦織はバックハンドをストレートに流しクレバーに対応。フォアでも左右に広角に打ち分けて主導権を確保した。以降も正確なリターンや隙あらば仕掛けるネットプレーを軸に効率良くポイントを重ね、2度のブレークに成功した錦織が第1セットを先取する。
第2セットでも勢いの衰えない錦織は第3ゲームで先にブレークして試合を優位に進める。だが第5ゲームで再三のブレークチャンスを逃すと、続く第6ゲームでは開き直ったランモの強打に押されてブレークバックを献上してしまう。
それでも経験豊富な錦織に全く焦りはなかった。ゲームカウント3-4で迎えた第8ゲームでポイントを先行されながら何とかサービスキープに成功すると、直後の第9ゲームでは得意のリターンから相手のミスを誘い、ストローク戦でも積極的に攻めてブレークポイントをつかむ。最後は相手がミスして値千金のブレークに成功。サービング・フォー・ザ・マッチとなった第10ゲームではブレークポイントを握られながらも何とか凌ぎ切り、マッチポイントではサーブ&ボレーを決めて価値ある勝利を手にした。
日本のファンにうれしいニュースを届けてくれた錦織は、試合後のWOWOWのインタビューで過去に何度もケガからの復帰を経験したことを踏まえつつ、無事待望のカムバックを果たせたことや終始素晴らしいプレーができたことを喜んだ。
「意外とプレーは順調だったなと思う。多分今までの復帰戦の中で一番良かったのではないかと思えるくらい良かった。湿気や緊張、色々な要因で身体はめちゃくちゃ重かったけど、何とか勝ててうれしい」
無論ケガ明けで「うまくできるかなという心配はあった」と語る錦織だが、そんな中でも「なるべく試合前からポジティブに、結果がどうであろうと、ここに立てる幸せを感じながらプレーしようと思っていた」という。そのうえで「プレー内容は良かったので、満足している」と改めて勝利の喜びを口にした。
その後日本のファンへメッセージを求められた錦織は「正直なところ静かにやらせてほしかったけど...」とジョークを交えて回答。軽妙な“錦織節”に続けて「次も頑張ります」と次戦への意気込みを示した。
2回戦ではミッチェル・クルーガー(アメリカ/258位)と対戦する錦織。次戦も伸び伸びとプレーする姿を見せてほしい。
文●中村光佑
【連続写真】スイング中に時間のズレを調節する、錦織圭のジャックナイフ