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海外テニス

ウクライナのスビトリーナがテニス団体に強く要請「侵攻国出身選手と握手は行なわないという声明を出すべき」<SMASH>

中村光佑

2023.07.11

「ウインブルドン」ベスト8に進出したスビトリーナは、試合後に改めて握手拒否について言及した。(C)Getty Images

「ウインブルドン」ベスト8に進出したスビトリーナは、試合後に改めて握手拒否について言及した。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「ウインブルドン」の女子シングルスでベスト8に進出した元世界ランク3位のエリーナ・スビトリーナ(ウクライナ/現76位)が4回戦後の記者会見に登場。もはやおなじみの光景となりつつあるロシア・ベラルーシ人選手との握手拒否に言及し、「テニス団体がウクライナ人選手と侵攻国出身選手は握手をしないという声明文を出すべき」と強く要請した。

 産休明けから調子を上げているスビトリーナは今大会、四大大会7勝を誇るビーナス・ウィリアムズ(アメリカ/現558位)や20年全豪オープン覇者のソフィア・ケニン(アメリカ/現128位)、元世界12位のエリーズ・メルテンス(ベルギー/現28位)と3人の実力者を撃破してベスト16に進出。現地9日の4回戦では侵攻国出身で元世界女王のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ/現20位)との対決を迎えた。

 この日の試合は立ち上がりに精彩を欠いたスビトリーナが2度のブレークを喫して第1セットを献上。それでも第2セットに入ると粘りのテニスで形勢を逆転し、第4、第10ゲームでアザレンカのサービスを破ってセットオールに持ち込む。

 ファイナルセットはブレークを1つずつ取り合い、勝負の行方は10ポイントタイブレークへ。先にミニブレークを許しながらも最後まであきらめずに戦い抜いたスビトリーナが2-6、6-4、7-6(9)の逆転で勝利。2時間46分にも及ぶ大激戦を制した。

 だが両者が健闘を称え合う姿は見られず、先にコートを後にしたアザレンカには観客から大きなブーイングが巻き起こった。卑劣な紛争が収束していない中で侵攻国出身の選手たちがプレーできていることに納得がいっていない人が多いのだろう。かねてから声高に反戦の意志を唱えてきたスビトリーナも無論同じ考えを抱いている。
 
 試合後の会見でスビトリーナは改めてロシア・ベラルーシ人選手との握手拒否を今後も継続する意向を示したうえで、次のように自身の見解を主張した。

「テニス団体は、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ人選手の間で握手は行なわないという声明を出す必要があると思う。ファンの皆からしたら何が起こっているか理解できないかもしれないが、これ(握手拒否)が正しいやり方だと思う」

 ちなみにウクライナ人選手と侵攻国出身選手が対戦した試合での握手拒否に対して観客が不満をあらわにする場面は先月の全仏オープンでも多々見られたが、その時はスビトリーナやマルタ・コスチュク(女子世界36位)をはじめ、なぜかウクライナ人選手にブーイングが向けられた。

 スビトリーナはその事実を踏まえながら今回は侵攻国出身のアザレンカがブーイングされたことについて「私も同じだった。全仏ではロシアおよびベラルーシ人選手と対戦した計3試合はあんな感じの雰囲気だった。今日も(ブーイングの対象は違うけど)そんなふうになった」と話した。

 一方敗れたアザレンカは記者会見で敗戦の弁を口にしつつ、「ブーイングをされたのはフェアじゃない」とコメント。ただどうやらスビトリーナが自分と握手をしなかったことには理解を示しているようで、「特に言うことはないわ。彼女はロシア・ベラルーシ人の選手と握手をしたくないのよ。私は彼女の決断を尊重した」と締めくくった。

文●中村光佑

【PHOTO】スビトリーナはじめウインブルドン2023で熱戦を繰り広げた女子選手たちの厳選写真を公開!
 
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