男子テニスツアー「ハンブルク・ヨーロピアン・オープン」(7月24日~30日/ドイツ・ハンブルク/クレーコート/ATP500)は現地7月30日にシングルス決勝を実施。地元勢で第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/世界ランク19位)が、ノーシードのラスロ・ジェレ(セルビア/同57位)を7-5、6-3のストレートで破り、節目のツアー通算20勝目を飾った。
昨年6月の全仏オープンで赤土の王者ラファエル・ナダル(スペイン/現142位)と対戦した際に右足首の大ケガを負ったズベレフは、同箇所の手術と懸命なリハビリを経て12月に中東サウジアラビアのエキジビションマッチで実戦に復帰。だがカムバックを遂げて以降は以前の強さを取り戻せずにもがき苦しんできた。
そんな中でも地道に努力を続けてきた26歳の名手は、生まれ故郷のハンブルクの舞台で躍動。今大会は初戦から1セットも落とさずに勝ち上がり、復帰後初めてとなるツアー決勝へと駒を進めていた。
この日のジェレとの決勝は、試合開始から互いにサービスキープが続く拮抗した展開となる。序盤から浅くなった球を積極的に叩いてくるジェレに対して、ズベレフは持ち前のディフェンス力で対応。ズベレフも隙あらば攻撃を仕掛けていくものの、粘りのプレーを見せるジェレをなかなか崩せずにいた。それでも迎えた最終第12ゲームでは、ジェレが立て続けにミスを犯したことでブレークポイント(セットポイント)を取得。このワンチャンスをものにしたズベレフが接戦の末に第1セットを先取した。
第2セットに入ってからはズベレフが主導権を確保する。第1セットを取り切った勢いそのままに第3ゲームから3ゲームを連取。第7ゲームでブレークバックを許すも冷静なプレーに徹したズベレフは、直後の第8ゲームですかさず2度目のブレークに成功。サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第9ゲームを難なくキープし、1時間51分で勝利を収めた。
ズベレフが母国大会で優勝を手にするのは今大会が5回目。また1968年のオープン化以降におけるハンブルク・オープンでの地元選手の優勝は、93年大会のミヒャエル・シュティッヒ(元世界2位/現54歳)以来実に30年ぶりのことである。
21年11月のシーズン最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」以来約1年8か月ぶりとなるツアータイトルを獲得したズベレフは、ATP(男子プロテニス協会)の公式サイトを通じて、長く苦しい時期を過ごしてきたことを踏まえつつ以下のように喜びを語った。
「ここは故郷であり、育った場所でもある。それに僕がテニスを始めた場所でもあるんだ。僕にとって今回の優勝は信じられないことで、信じられないほど感動的だった。言葉では言い表せないくらい、今はただ超ハッピーだよ。また初優勝したような気分だ。最後のタイトル獲得から1年半以上も経ってしまっていたし、今はとても幸せだ」
母国ファンの前で見事な復活優勝を果たしたズベレフ。まだ手が届いていない四大大会初優勝に向けても大きな自信を得たことだろう。北米ハードシリーズでもさらなる活躍を期待したい。
文●中村光佑
【連続写真】巧みな身体使いから生まれるズベレフの爆速サービス詳細画像
昨年6月の全仏オープンで赤土の王者ラファエル・ナダル(スペイン/現142位)と対戦した際に右足首の大ケガを負ったズベレフは、同箇所の手術と懸命なリハビリを経て12月に中東サウジアラビアのエキジビションマッチで実戦に復帰。だがカムバックを遂げて以降は以前の強さを取り戻せずにもがき苦しんできた。
そんな中でも地道に努力を続けてきた26歳の名手は、生まれ故郷のハンブルクの舞台で躍動。今大会は初戦から1セットも落とさずに勝ち上がり、復帰後初めてとなるツアー決勝へと駒を進めていた。
この日のジェレとの決勝は、試合開始から互いにサービスキープが続く拮抗した展開となる。序盤から浅くなった球を積極的に叩いてくるジェレに対して、ズベレフは持ち前のディフェンス力で対応。ズベレフも隙あらば攻撃を仕掛けていくものの、粘りのプレーを見せるジェレをなかなか崩せずにいた。それでも迎えた最終第12ゲームでは、ジェレが立て続けにミスを犯したことでブレークポイント(セットポイント)を取得。このワンチャンスをものにしたズベレフが接戦の末に第1セットを先取した。
第2セットに入ってからはズベレフが主導権を確保する。第1セットを取り切った勢いそのままに第3ゲームから3ゲームを連取。第7ゲームでブレークバックを許すも冷静なプレーに徹したズベレフは、直後の第8ゲームですかさず2度目のブレークに成功。サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第9ゲームを難なくキープし、1時間51分で勝利を収めた。
ズベレフが母国大会で優勝を手にするのは今大会が5回目。また1968年のオープン化以降におけるハンブルク・オープンでの地元選手の優勝は、93年大会のミヒャエル・シュティッヒ(元世界2位/現54歳)以来実に30年ぶりのことである。
21年11月のシーズン最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」以来約1年8か月ぶりとなるツアータイトルを獲得したズベレフは、ATP(男子プロテニス協会)の公式サイトを通じて、長く苦しい時期を過ごしてきたことを踏まえつつ以下のように喜びを語った。
「ここは故郷であり、育った場所でもある。それに僕がテニスを始めた場所でもあるんだ。僕にとって今回の優勝は信じられないことで、信じられないほど感動的だった。言葉では言い表せないくらい、今はただ超ハッピーだよ。また初優勝したような気分だ。最後のタイトル獲得から1年半以上も経ってしまっていたし、今はとても幸せだ」
母国ファンの前で見事な復活優勝を果たしたズベレフ。まだ手が届いていない四大大会初優勝に向けても大きな自信を得たことだろう。北米ハードシリーズでもさらなる活躍を期待したい。
文●中村光佑
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