男子テニス界を牽引する2人のスター選手の新たな確執が波紋を広げている。
事の発端は今週開催されている男子テニスのマスターズ1000大会「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月9日~16日/モナコ・モンテカルロ/クレーコート)のシングルス3回戦でのこと。世界ランク5位のダニール・メドベージェフ(ロシア)と、同16位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)による注目の対決が実現したこの試合は、両者が互角の打ち合いを展開し、ファイナルセットまでもつれ込む大接戦となった。
そしてゲームカウント3-3で迎えた第7ゲームでサービスをキープしたメドベージェフは、90秒のチェンジエンドに入った瞬間に駆け足でトイレへ。90秒が経過したところでズベレフは先にポジションに付いていたが、この時メドベージェフはまだコートには戻っていなかった。
それから程なくして急ぎ足でコートに戻ってきたメドベージェフは主審から「タイム!」と声がかかってからもポジションに付くまでに少々時間を要してしまい、ズベレフはプレー再開まで数10秒待たされる格好となってしまった。それにもかかわらずメドベージェフには何の警告も与えられなかった。
インターバル明けの第8ゲームでサービスをキープしたズベレフは、続く第9ゲームで値千金のブレークに成功。ところがサービング・フォー・ザ・マッチとなった第10ゲームをラブゲームでブレークされ、勝負の行方はタイブレークへと突入する。
激しいミニブレーク合戦が繰り広げられた中でズベレフは、先に握った2度のマッチポイントをいずれも生かすことができず。そこからメドベージェフに2ポイントを連取されてしまい、3時間5分にも及ぶ激戦の末に6-3、5-7、6-7(7)の逆転で敗れた。
ルール上、トイレットブレークはセット終了時に1度だけ取ることが許されているが、メドベージェフはチェンジエンドでトイレ休憩を行なったため、本来であれば90秒間で素早く用を足してコートに戻らなければならなかった。この事実を踏まえて試合後の記者会見でズベレフは「こういう結果になったのは完全に僕の責任だ」と潔く負けを認めつつも、規定の制限時間でトイレ休憩を終えなかったメドベージェフを次のように糾弾した。
「彼は世界で最もずるいプレーヤーの一人だ。アスリートとしての彼には非常に失望している。僕はフェアプレーとスポーツマンシップを非常に重要視している。でも彼はそうではない。彼は規定違反となる段階に入ってもトイレ休憩を取る」
一方であからさまな遅延行為を働いたわけではなかったにもかかわらず、宿命のライバルから批判を浴びたメドベージェフは意に介していない様子。コートマナーが問題視されているズベレフとフェアプレーに定評がある男子選手とを比較し、皮肉の言葉を交えて次のように応戦した。
「もし、ルードやルブレフ、ハチャノフ、シュワルツマンのような選手が僕と喧嘩をしたなら、僕に非がある感じになると思う。実際僕はシュワルツマンとATPカップで喧嘩をした。今でも彼は僕を好きではないかもしれない。
彼のような、とても親切でフェアプレーをする人が、僕のことをそんな風に思っていれば、申し訳ないと思う。でもサーシャ(ズベレフ)はフェアプレーに定評がある男ではない。サーシャが誰かに“フェアプレーをしていない”と言うと、『へえ、そうかい。鏡の中の自分を見てみろ』と思う」
「もうこれからは(ズベレフと)2度と話すことはなく、敵対することになるかもしれない。でも今のところ、あまり気にしていないよ」
ジュニア時代から切磋琢磨してきた2人の関係性はどうなってしまうのだろうか。すぐに仲直りできることを祈るばかりである。
文●中村光佑
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事の発端は今週開催されている男子テニスのマスターズ1000大会「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月9日~16日/モナコ・モンテカルロ/クレーコート)のシングルス3回戦でのこと。世界ランク5位のダニール・メドベージェフ(ロシア)と、同16位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)による注目の対決が実現したこの試合は、両者が互角の打ち合いを展開し、ファイナルセットまでもつれ込む大接戦となった。
そしてゲームカウント3-3で迎えた第7ゲームでサービスをキープしたメドベージェフは、90秒のチェンジエンドに入った瞬間に駆け足でトイレへ。90秒が経過したところでズベレフは先にポジションに付いていたが、この時メドベージェフはまだコートには戻っていなかった。
それから程なくして急ぎ足でコートに戻ってきたメドベージェフは主審から「タイム!」と声がかかってからもポジションに付くまでに少々時間を要してしまい、ズベレフはプレー再開まで数10秒待たされる格好となってしまった。それにもかかわらずメドベージェフには何の警告も与えられなかった。
インターバル明けの第8ゲームでサービスをキープしたズベレフは、続く第9ゲームで値千金のブレークに成功。ところがサービング・フォー・ザ・マッチとなった第10ゲームをラブゲームでブレークされ、勝負の行方はタイブレークへと突入する。
激しいミニブレーク合戦が繰り広げられた中でズベレフは、先に握った2度のマッチポイントをいずれも生かすことができず。そこからメドベージェフに2ポイントを連取されてしまい、3時間5分にも及ぶ激戦の末に6-3、5-7、6-7(7)の逆転で敗れた。
ルール上、トイレットブレークはセット終了時に1度だけ取ることが許されているが、メドベージェフはチェンジエンドでトイレ休憩を行なったため、本来であれば90秒間で素早く用を足してコートに戻らなければならなかった。この事実を踏まえて試合後の記者会見でズベレフは「こういう結果になったのは完全に僕の責任だ」と潔く負けを認めつつも、規定の制限時間でトイレ休憩を終えなかったメドベージェフを次のように糾弾した。
「彼は世界で最もずるいプレーヤーの一人だ。アスリートとしての彼には非常に失望している。僕はフェアプレーとスポーツマンシップを非常に重要視している。でも彼はそうではない。彼は規定違反となる段階に入ってもトイレ休憩を取る」
一方であからさまな遅延行為を働いたわけではなかったにもかかわらず、宿命のライバルから批判を浴びたメドベージェフは意に介していない様子。コートマナーが問題視されているズベレフとフェアプレーに定評がある男子選手とを比較し、皮肉の言葉を交えて次のように応戦した。
「もし、ルードやルブレフ、ハチャノフ、シュワルツマンのような選手が僕と喧嘩をしたなら、僕に非がある感じになると思う。実際僕はシュワルツマンとATPカップで喧嘩をした。今でも彼は僕を好きではないかもしれない。
彼のような、とても親切でフェアプレーをする人が、僕のことをそんな風に思っていれば、申し訳ないと思う。でもサーシャ(ズベレフ)はフェアプレーに定評がある男ではない。サーシャが誰かに“フェアプレーをしていない”と言うと、『へえ、そうかい。鏡の中の自分を見てみろ』と思う」
「もうこれからは(ズベレフと)2度と話すことはなく、敵対することになるかもしれない。でも今のところ、あまり気にしていないよ」
ジュニア時代から切磋琢磨してきた2人の関係性はどうなってしまうのだろうか。すぐに仲直りできることを祈るばかりである。
文●中村光佑
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