海外テニス

時差や試合遅延の影響で疲労困憊のチチパスが、テニスツアーの過酷さを吐露「朝5時に寝るのは理想的ではない」<SMASH>

中村光佑

2023.08.20

連戦のなかで睡眠が不足し、疲労が蓄積したチチパスは、トロント、シンシナティと早期敗退が続いた。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスツアー「ウェスタン&サザン・オープン」(8月13日~20日/アメリカ・シンシナティ/ハードコート/ATP1000)のシングルス3回戦で敗退した世界ランク4位のステファノス・チチパス(ギリシャ)が、大会期間中の記者会見で、世界各地を飛び回るテニス選手にとって悩みの種になりやすい時差への適応の難しさを語った。

 ハードシーズン初戦として挑んだ「ミフェル・テニス・オープン」(メキシコ・ロスカボス/ATP250)で約1年2か月ぶりのツアー優勝を飾ったチチパス。だが休む間もなく出場した先週の「ナショナルバンク・オープン」(カナダ・トロント/ATP1000)では初戦の2回戦で元世界6位のガエル・モンフィス(フランス/現211位)にストレート負けを喫していた。

 今週第4シードで参戦したシンシナティでは初戦(2回戦)で地元勢のベン・シェルトン(アメリカ/40位)に7-6(3)、7-6(2)の僅差で勝利。しかし3回戦ではノーシードのフベルト・フルカチュ(ポーランド/20位)に3-6、4-6で敗れ、ベスト8進出を逃した。

 スペインのテニスメディア『Punto de Break』によると、チチパスは2回戦勝利後の会見で、初戦敗退に終わった先週のカナダ・マスターズを回顧。そのうえで地理的には比較的近いロスカボスとトロントのわずかな時差でさえも自分のリズムを狂わせたと明かした。
 
 またトロントで良いプレーができなかったもう一つの理由として、悪天候に見舞われたロスカボスの試合終了時刻が非常に遅かったことによる疲労も影響したとコメント。ロスカボス準々決勝で深夜3時頃に終了したニコラス・ジャリー(チリ/現26位)とのフルセットマッチを制していたチチパスは、過酷なスケジュールをうまくこなすことがテニス選手の宿命であると強調しつつも以下のように語った。

「難しい状況だったけど、次の大会への移動が大変だったとしても、ロスカボスに出ることを決めていた。ただ時差のせいで、特に睡眠の面で適応するのがとても難しく、カナダでの最初の試合はかなり疲れた状態でプレーしなければならなかった」

「でもそれが僕たちのツアーのやり方であり、新しい環境にすぐに慣れることはできない。 トロントは(標高が高くて)非常にボールが飛びやすいロスカボスとは大きく異なっていた。(一方で)トロントでは生活のリズムが良くなり、いつも夜中3時頃に試合が終わるロスカボスとは違って、ようやく普通の時間に寝られるようになった。でもその新たなリズムに慣れるまでには 5~6日ほどかかった。特にマスターズ(のような大きな大会)に出場している場合、朝5時に寝るのは理想的ではない」

 チチパスの言葉を聞くと、いかにプロテニスツアーがハードであるかというのがよくわかる。日々身体を酷使しながら戦い続ける選手たちに寄り添う配慮が必要だろう。

文●中村光佑

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