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【伊達公子】昨年の全米OP覇者のアルカラスとシフィオンテクが今年も有力。綿貫陽介はさらなる飛躍を<SMASH>

伊達公子

2023.08.25

アルカラスは「ジョコビッチの想像を超えたものを持っている」と言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 8月28日から今年最後のグランドスラム、全米オープンテニスが始まります。男子はアルカラスが優勝候補でしょう。ウインブルドンのように、ジョコビッチと決勝で対戦という可能性は大いにあると思います。

 今までずっとビッグ3の牙城を崩せなかったのに、なぜアルカラスにはそれができるのか。彼にはジョコビッチの想像を超えた、フィジカルの強さ、メンタル、勢いがあります。ジョコビッチの場合、「普通」では動揺しませんが、ウインブルドンの決勝ではアルカラスが予想を上回ってきたわけです。

 そして、興味深いのはアルカラスがまだ伸びている途中だということです。ローランギャロスからウインブルドンの短期間でも成長していました。全米オープンでさらに成長した姿を見せてくれれば、アルカラスが全米オープン2連覇を成し遂げられると思います。

 日本男子では綿貫陽介選手が初めてグランドスラム本戦ストレートインとなります。ウインブルドンの予選を突破したことが自信になっているのでしょう。「100位以内をキープする」と思っていると落ちてしまうので、守るのではなく100位突破を目指していた時の気持ちを持ち続けることです。そうすれば、この全米オープンは色々と学べる機会になるはずです。彼が新たにトップ100入りしたことで、日本男子にとって大きな刺激となっているのは間違いありません。
 
 女子では、昨年覇者のシフィオンテクに、ルバキナ、サバレンカが有力候補です。3人ともハードコートの適性もありますし、誰が頂点に立ってもおかしくありません。あと上位に食い込みそうなのは、前哨戦で優勝したペグラでしょうか。地元アメリカの選手ですし、勝ち上がると盛り上がりそうです。

 日比野菜緒選手がエントリー時のランキングのため今大会は予選からの出場となり、敗退しました。しかし、1度ランキングを落としてからツアー優勝して、トップ100に返り咲くというのは簡単ではありません。彼女の頑張りの結果ですね。

 ここから、キャリアハイ(56位)を更新して50位を切れるところまでいけるかは、またさらに強いエネルギーを注ぎ込まなければなりませんが、そういうことが起きてもおかしくない位置にはいます。しつこいプレーが彼女の強みで、良い時には思い切りの良いプレーが出てきます。しぶとく頑張っている時には、ぜひ声援で後押ししてください。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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