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世界30位のユーバンクスが黒人選手の台頭について見解!「活躍することが可能だと理解できた」と自論も展開<SMASH>

中村光佑

2023.08.29

今年、大きな躍進を遂げたユーバンクスが、自分と同じ黒人選手の台頭に期待を寄せた。(C)Getty Images

 先月のウインブルドンで自身初の四大大会ベスト8進出を遂げるなど目覚ましい活躍を見せている男子テニス世界ランク30位のクリストファー・ユーバンクス(アメリカ/27歳)がイギリスのニュースメディア『The Guardian』のインタビューに回答。自身を含め男子ツアーで活躍する黒人選手が徐々に増えてきていることに、ある種の期待感を抱いていると語った。

 黒人のテニスプレーヤーで名を馳せた選手が比較的女子ツアーに固まっている印象を受けるファンは多いかもしれない。四大大会で23度の優勝を誇るセレナ・ウィリアムズ(アメリカ)を筆頭に最近ではココ・ガウフ(アメリカ/現6位)や大坂なおみ(元1位/現603位)、さらには2017年の全米オープンでグランドスラム初優勝を達成したスローン・スティーブンス(アメリカ/現36位)といった実力者が黒人プレーヤーの共同体をけん引している。

 一方、男子テニス界でもガエル・モンフィス(フランス/元6位/現162位)やジョー‐ウィルフリード・ツォンガ(フランス/元5位/昨年5月に引退)、2010年代前半~中盤に強烈なインパクトを残したダスティン・ブラウン(ドイツ/元64位)をはじめ、活躍した黒人選手が全くもっていないというわけではない。最近では昨年の全米で初めて四大大会ベスト4入りを果たした同郷のフランシス・ティアフォー(アメリカ/現10位)もいる。そんな中でユーバンクスは、年々自分と同じ人種のプレーヤーが台頭しつつある状況を歓迎しているという。
 
 17年までジョージア工科大学でプレーし、その後プロに転向した"遅咲き"のユーバンクスは、自身のこれまでの経験を踏まえながら黒人選手の台頭について次のように語った。

「僕は指導者に恵まれて幸運だった。そのおかげで、それ(活躍すること)が可能であると理解することができた。子どもたちにとって、自分と同じように見える人がそれ(名を残すこと)をやっている姿を見なければ、自分がそういう人になれると本当に信じるのは難しい。子どもに"君ならできる"と説得するのは難しいことだが、テレビを見ていると、自分と同じようなことをしている人を見ることは(めったに)ない。黒人男性がセレナのようにテニス界を独占する余裕はこれまでなかったと思う」

「でも今は、僕たち(黒人の男子選手)のより大きなコミュニティが発展してきているから、小さな黒人の少年たちがテレビをつけて、僕たちの試合を見た時に、『僕はテニスをやってみたいかもしれない』と言うこともあるだろう。そういう子たちはもしかするとバスケットボールではなくて、おそらく(本当に)テニスを試してみたいのだと思う」

 7月初旬のマヨルカ選手権(ATP250)でツアー初優勝を手にし、今後のさらなる飛躍に注目が集まるユーバンクス。ぜひとも黒人の子どもたちの憧れの的になるようなプレーヤーになってもらいたいものだ。

文●中村光佑

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