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【関東大学テニスリーグ男子最終戦】慶應が全勝で46年ぶりのリーグ制覇! 日大が2位に入り19年ぶりの王座切符<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2023.09.08

関東大学リーグ男子、全勝で優勝を飾った慶應義塾大学(左写真)。エースとして慶大を引っ張った藤原智也(右上)。高木翼が山口柚希を破って慶大の勝利を決めた(右下)。写真:渡辺隆康(スマッシュ編集部)

 関東の大学テニス部が最も熱く燃える大会「2023年関東大学テニスリーグ」。その男女第1部は、2013年以来10年ぶりに全日程が有明テニスの森公園(東京)で開催されている。1、2位校は大学日本一を決める「全日本大学対抗テニス王座決定試合」の出場権を手にできる重要な大会。9月7日には男子の最終戦(第5戦)が行なわれた。

 第4戦終了時点ですでに優勝を決めていた慶應義塾大学は、5位確定の早稲田大学と、伝統の「第196回早慶対抗庭球試合」を兼ねて対戦。6-3で勝利し、関東リーグ全勝優勝を飾るとともに、春に続く早慶戦連勝で通算成績を86勝110敗とした。

 慶大はダブルスを2-1と先行すると、シングルスでもNo6今鷹洸太、No4脇坂留衣が連勝して一気に王手。No5は落としたものの、No3高木翼がストレート勝ちしてチームの勝利を決めた。最後はインカレ王者のエース藤原智也も貫録勝ちし、チーム力の高さを示した。

 慶大は2021年にコロナ禍で臨時開催された「王座出場校決定トーナメント」で優勝しているが、正規の関東リーグ優勝は、学生連盟の記録によると昭和52年以来46年ぶり。慶大の坂井利彰監督は、長年越えられなかった壁を打ち破れた要因として「早大との関係が大きい」と語る。

「今までなかった、逆境で流れを引き寄せる強さをチームが兼ね備えてきた。これは早大というライバルにとことん負け続けて、逆に何が足りないかを追求し、その中で培われたもの。それが今、団体戦の強さとなって表れてきた」
 
 とはいえ慶大にとって最終的な目標はリーグ優勝ではなく、やはり昭和52年以来遠ざかっている大学王座の頂点だ。「関東リーグは王座の予選であり、通過点としては良かった」と坂井監督も気持ちを切り替える。

「王座は全く違う戦い方をする必要がある。出場し続けているアドバンテージを生かすためにも、今日の優勝に満足せず、短い期間でもう一度積み上げる作業をしたい」と言葉に力を込めた。

 一方、敗れた早大は王座で積み重ねてきた17連覇という前人未到の記録が、その舞台を踏むことなくついえることになった。石井弥起監督は、「タフな戦いを予想していたが、現実になった」と冷静に受け止める。

「このチームになって、シンプルに戦力が他校と比較して厳しいのはわかっていた。それを埋める努力をしてきたが、うまくいかなかったところもあった。連覇が途切れたのは当然悔しいが、ここから新しい早稲田が始まる。今まであった重圧や呪縛から解き放たれて、新たに色々と改革し、作り直していきたい」

 5位の早大はリーグ2部との入替戦に回ることになる。そこだけは絶対に死守したいという石井監督。それをチーム立て直しのスタートにしたい。
 
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