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海外テニス

ATPとWTAが組織統合に向け協議開催へ!ATP会長は「四大大会を含め男女が一緒になることだ」とビジョンを明かす<SMASH>

中村光佑

2023.09.12

ATP会長のアンドレア・ガウデンツィ氏(左)が単一団体の創設に賛成の意を示した。元世界王者のロジャー・フェデラー(右)もSNSを通じて統括団体の統合を提言している。(C)Getty Images

ATP会長のアンドレア・ガウデンツィ氏(左)が単一団体の創設に賛成の意を示した。元世界王者のロジャー・フェデラー(右)もSNSを通じて統括団体の統合を提言している。(C)Getty Images

 男子ツアーを管轄するATP(男子プロテニス協会)と女子ツアーを運営するWTA(女子テニス協会)が、今月末にイギリス・ロンドンで組織統合に向けた協議を開催することが、海外メディア『UBITENNIS』の報道で明らかになった。

 近年は男女の組織統合を支持する声が高まっていたテニス界。2020年4月には新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大により男女テニスツアーが停止及び財政難に陥っていた中で、元世界王者のロジャー・フェデラー(スイス/昨年9月に引退)が、自身のSNSを通じて「今こそ男女のテニスを統合して1つになるべきだと考えているのは僕だけだろうか。男女の統括団体を統合するという意味だ」と提言したことを覚えているファンも多いかもしれない。

 実はATPの会長を務めるアンドレア・ガウデンツィ氏も、男女ツアーを管轄する単一団体の創設には賛成の立場を示してきた。同氏は先日応じた米経済誌『Forbes』の取材でもこう語っていた。
 
「私のビジョンは厳密にはATPとWTAが四大大会を含め1つの組織の下に統合される形になることだ。つまり男女の選手がテニスの意思決定に影響を与える力を50%ずつ持つことになる。その半分は女子選手でもう半分は男子選手となる。

 テニスにおける意思決定に影響を与える権利は四大大会やマスターズを含めた全てのカテゴリーのトーナメントにも50%の割合で付与される。その理念は基本的に、男子ツアーと女子ツアー、テニス選手と大会に関する最善の決定を下すことだ。テニスの組織や運営機関が全体をトータルに管理し、選手や大会、その他の関連要素を均衡に扱うことによって、スポーツ全体の繁栄と成功を達成するための最良の仕事ができる」

 現在プロテニス界には、ATPとWTA、各四大大会、ITF(国際テニス連盟)の計7つの独立した運営団体が存在しているのだが、それに伴う経営体制の不明瞭さが大きな課題となっていた。実のところ男女の統括団体を合併することに好意的な姿勢を見せている人々は財政難克服だけではなく、「よりシンプルな経営構造を可能にする」との考えを声高に主張している。

 だが、テニス界の組織統合はそう簡単な問題ではない。それには男女の統括団体がそれぞれ独自の商業パートナーと、テレビ放映権を保有していること、さらには興行収入が大きく異なることが関係している。ちなみに米ニューヨークに本拠を置く非営利・独立系の報道機関「ProPublica」が発表した最新のデータでは、 2021年シーズンにATPが1億7,680万ドル(約258億円)の収益を上げたのに対し、WTAの収益は8,780万ドル(約128億5000万円)だったと報告している。
 
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