現在開催中の男子テニスツアー「ロレックス上海マスターズ」（10月４日～15日／中国・上海／ハードコート／ATP1000）で３回戦進出を果たした元世界ランク３位のグリゴール・ディミトロフ（ブルガリア／現19位）が、現地10月８日に行なわれた２回戦勝利後の記者会見に登場。近年は安定したパフォーマンスができていることを踏まえ、「自分への期待感は常に高い」と自信をのぞかせた。

　華麗な片手バックハンドやスライスを軸とした優雅なプレーでファンを魅了してきたディミトロフ。2017年11月の「ATPファイナルズ」（イギリス・ロンドン／シーズン最終戦）を最後にツアー優勝からは遠ざかっているものの、30代に突入してからも素晴らしい活躍を見せている。今シーズンもツアー大会では７度ベスト８以上に進出しており、今週の上海でも上位進出に期待は高まるばかりだ。

　今季は「プレーの一貫性を保つこと」を目標に掲げてきたというディミトロフは、ここ最近の自身の活躍について「少しずつではあるが、様々な大会で良いリズムを刻みながら（トップ選手たちと）競い合い、勝つことができるようになった」と手応えを口にする。５月下旬の「ジュネーブ・オープン」（スイス・ジュネーブ／ATP250／クレー）での準優勝を振り返りつつ「また決勝に進むことができた。そのことも非常に重要な経験だった」と述べた32歳の名手は、次のようにさらなる飛躍を誓った。

「僕は常にもっと上までいきたいと思っていて、どの大会でも自分自身に期待している。良い状態をキープしながら正しいことをしていれば、状況はもっと良くなる可能性がある」
  　ベテランの域に差し掛かる中で「年を追うごとに自分が達成したこと全てに感謝するようになった」というディミトロフは、周りの人々に支えられながら特に大きなケガがなく、良好なコンディションを維持できていることについても一定の満足感を得られていると語る。そのうえでこの先も第一線で活躍し続けるためのモチベーションも次第に高まっていると明かした。

「（この歳になっても）20日以上毎日練習ができるのは僕にとって意味のあることだ。全ての選手がそれができるわけではないと思う。朝起きた時に身体のあちこちに少しばかり痛みを感じ、トレーニングで痛みを和らげなければならないこともある。自分の身体に適応するには、様々なことをしなければならない。（でもその中で）僕は健康な状態が維持できていることに感謝している。

　最近はもう自分自身以外に証明できることは何もない。今こそ僕にとっては一番良い時期だと感じている。家族や親しい友人、全てのスポンサー、そして僕のチームメンバーとして所属してくれている全ての人たちに本当に感謝している。僕が成し遂げられたことは全て彼らのおかげだ」

　ディミトロフの言葉には心身の充実ぶりが明確に表れている。今後も若手選手たちに負けじと持ち味の正統派テニスで男子ツアーを盛り上げていってほしい。

文●中村光佑

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