国内テニス

全日本テニス2日目、ホープ大岐優斗は大会デビューを飾れず「実力が足りなかった」。元女王の大前綾希子は逆転勝ち<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2023.10.29

全日本初出場の大岐優斗(左)は「自分のペースで試合できなかった」と丹下颯希に敗退。7年ぶりの優勝を狙う大前綾希子(右)は、まもなく引退する押野紗穂を逆転で下した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 テニスの日本チャンピオンを決める「三菱電機ビルソリューションズ 全日本テニス選手権98th」(10月28日~11月5日/東京・有明/ハードコート)は第2日を迎え、男女シングルス1回戦の残りなどが行なわれた。

 この日最大の注目を集めたのは、今年のインターハイと全日本ジュニアを制したホープ、大岐優斗だ。11月1日付けでのプロ転向を前に全日本に初登場したが、大学生の丹下颯希に2-6、2-6で敗れ、ほろ苦い大会デビューとなった。

 丹下の速いテンポの両手打ちフォアにリズムをつかめず、攻撃してもうまくカウンターを取られ、「得意なフォアで展開できなかった」という大岐。「相手は低くて深いボールを早いタイミングで打ち分けてきて、自分の苦手なタイプ」だったそうで、「まだ実力が足りなかった」と素直に脱帽。今後は「海外で経験を積み、国内でのトレーニング強度も上げてトライしていきたい」と実力アップを誓っていた。

 藤原智也対高畑里玖の慶應・早稲田の4年生エース対決も興味を引いた。ファイナルタイブレークにもつれ込む接戦となったが、「競った時に自分の方が足が動ける」と言う藤原が、インカレ王者の底力を見せて勝利。卒業後は就職し、選手活動から退く藤原が、最後の公式戦となる今大会で白星スタートを切った。

「自分のテニスの力量と先輩たちを比べて、自分では通用しないだろう」とプロの道を選ばなかった藤原。「最後なので、結果を気にするよりも自分のテニスを出し切りたい」とノンプレッシャーで今大会に臨んでいる。それでも「去年ベスト8だったので、それ以上を目指したい」と選手としての欲も見せる。負ければそこで引退。藤原の最後の戦いに注目したい。
 
 女子では元全日本女王の大前綾希子が熱いプレーで会場を沸かせた。30歳の大前は、押野紗穂に3-6、6-2、6-1で逆転勝ち。優勝したのは2016年のことだが、全日本に懸ける気持ちは今も同じだという。

「7年前、(調子を落としていたが)全日本に優勝してグランドスラムに戻ることができた。今も現役を続けている以上、グランドスラムに出たいので、(優勝すれば)背中を押してくれるのは変わらない」と大前。現在、日本ランク37位まで落としている大前だが、「優勝するつもりで準備してきた」と、高いモチベーションで今大会に挑んでいる。

◆男子シングルス1回戦の結果(10月29日)
○上杉海斗(江崎グリコ)[Q] 7-6(5) 4-1 ret. 田島尚輝(やまやコミュニケーションズ) [Q]●
○齋藤惠佑(富士住建) 6-7(3) 6-2 6-3 松田康希(イカイ)●
○丹下颯希(日本大学)[Q] 6-2 6-2 大岐優斗(佐土原高校)[WC]●
○小倉孝介(フリー) 6-2 7-6(4) 小泉煕毅(日本大学)[Q] ●
○鈴木昂(エキスパートパワーシズオカ)[Q] 7-6(5) 7-5 大和田秀俊(リコー)[WC]●
○山崎純平(日清紡ホールディングス) 6-4 6-2 勝島陽希(ルネサンス)[Q]●
○藤原智也(慶應義塾大学) 6-3 3-6 7-6(4) 高畑里玖(早稲田大学)[Q]●
○江原弘泰(エキスパートパワーシズオカ)[Q] 6-2 7-5 竹島駿朗(Team REC)●
○山尾玲貴(九州電力)[Q] 4-6 6-4 6-4 丸田健(クレールインドアテニススクール)[Q]●
○林航平(慶應義塾大学)[WC] 6-4 6-3 吉田将宗(山本製作所)[Q]●
○山中太陽(EMシステムズ)[Q] 3-6 7-5 6-3 中川舜祐(伊予銀行)●

◆女子シングルス1回戦の結果(10月29日)
○宮田萌芳(早稲田大学)[Q] 6-7(4) 6-2 7-6(3) 奥脇莉音(橋本総業)[Q]●
○大前綾希子(橋本総業) 3-6 6-2 6-1 押野紗穂(島津製作所)●

※[Q]は予選勝者、[WC]はワイルドカード

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

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