男子テニスツアー「エルステ・バンク・オープン」(10月23日~29日/オーストリア・ウィーン/インドアハードコート/ATP500)は、現地10月29日にシングルス決勝を実施。第2シードのヤニック・シナー(イタリア/世界ランク4位)が、第1シードで前回覇者のダニール・メドベージェフ(ロシア/同3位)を7-6(7)、4-6、6-3のフルセットで下し、ツアー10勝目を飾った。
両者がツアーで顔を合わせるのは今大会が8度目。対戦成績はシナーが1勝6敗と大きく負け越しているが、直近の対戦である今月初旬の「中国オープン」(中国・北京/ハードコート/ATP500)決勝ではシナーが7-6(2)、7-6(2)のストレートで勝利。"7度目の正直"で対メドベージェフ初勝利を挙げ、キャリア9度目のツアータイトルを獲得していた。
今回のウィーン大会決勝ではシナーの粘り強いプレーが光った。第4ゲームでメドベージェフに先にブレークを許すも、直後の第5ゲームでは相手の強烈なサービスにしっかりと食らいつき、ストローク戦でも攻めの姿勢を貫いて、すかさずブレークバックに成功する。そのまま突入したタイブレークでもシナーが1-4とリードされたところから形勢を逆転。メドベージェフの2度のセットポイントも凌ぎ切り、61分の接戦の末に1セットアップとする。
だがタイトな第1セットが影響したのか、第2セットに入るとメドベージェフの深さのあるストロークに苦戦。ダウンザラインを起点としたポイントも徐々に減り、思うようにプレーさせてもらえないままセットオールに持ち込まれる。
そんななかでも冷静にプレーを続けるシナー。勝負のファイナルセットはデュースとブレークポイントを幾度となく繰り返して、約20分を要した第4ゲームで値千金のブレークを奪うと、以降は疲労の色を隠せないメドベージェフを相手にラリー戦で優位に立ち、第6ゲームで2度目のブレークに成功。サービング・フォー・ザ・マッチとなった第9ゲームは2本のブレークポイントを握られながらも何とかキープし、3時間5分の大激戦をものにした。
メドベージェフの大会連覇を阻止して今季4度目のツアー優勝を手にしたシナーは、決勝戦後にATP(男子プロテニス協会)の公式サイトを通じて試合内容を振り返りつつ次のように喜びを語っている。
「(試合に勝ちきるには)精神的にも肉体的にも多くのことが必要だった。第1セットは2人とも非常にテンポよくサービスをキープしていたと思う。彼(メドベージェフ)に先にブレークされてから、僕はなんとかサービスのクオリティを取り戻すことができた。彼のサービスは本当に良かったと感じていたからね。第1セットでは(タフな状況の中で)道を見出せたよ。
第2セットは彼がラリーで優位に立とうとしていると感じたから、僕はそれに頑張ってついていこうとした。ファイナルセットでは僕が少しステップアップしようと試みた。多くのブレークポイントを逃したが、最終的にはそれをものにできたからとても満足している。もちろん試合を終えるにはメンタルの部分で本当にきつかったけど、今日の自分の試合運びにはとても満足しているし、またタイトルを獲得できてとてもうれしいよ」
今週は休む間もなく「ロレックス・パリ・マスターズ」(10月30日~11月5日/フランス・パリ/インドアハード/ATP1000)に第4シードで参戦するシナー。ぜひともこの勢いでマスターズ2勝目を期待したいところだ。
文●中村光佑
【連続写真】ムチのように関節を柔らかく使ったシナーのフォアハンド「30コマの超連続写真」
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両者がツアーで顔を合わせるのは今大会が8度目。対戦成績はシナーが1勝6敗と大きく負け越しているが、直近の対戦である今月初旬の「中国オープン」(中国・北京/ハードコート/ATP500)決勝ではシナーが7-6(2)、7-6(2)のストレートで勝利。"7度目の正直"で対メドベージェフ初勝利を挙げ、キャリア9度目のツアータイトルを獲得していた。
今回のウィーン大会決勝ではシナーの粘り強いプレーが光った。第4ゲームでメドベージェフに先にブレークを許すも、直後の第5ゲームでは相手の強烈なサービスにしっかりと食らいつき、ストローク戦でも攻めの姿勢を貫いて、すかさずブレークバックに成功する。そのまま突入したタイブレークでもシナーが1-4とリードされたところから形勢を逆転。メドベージェフの2度のセットポイントも凌ぎ切り、61分の接戦の末に1セットアップとする。
だがタイトな第1セットが影響したのか、第2セットに入るとメドベージェフの深さのあるストロークに苦戦。ダウンザラインを起点としたポイントも徐々に減り、思うようにプレーさせてもらえないままセットオールに持ち込まれる。
そんななかでも冷静にプレーを続けるシナー。勝負のファイナルセットはデュースとブレークポイントを幾度となく繰り返して、約20分を要した第4ゲームで値千金のブレークを奪うと、以降は疲労の色を隠せないメドベージェフを相手にラリー戦で優位に立ち、第6ゲームで2度目のブレークに成功。サービング・フォー・ザ・マッチとなった第9ゲームは2本のブレークポイントを握られながらも何とかキープし、3時間5分の大激戦をものにした。
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「(試合に勝ちきるには)精神的にも肉体的にも多くのことが必要だった。第1セットは2人とも非常にテンポよくサービスをキープしていたと思う。彼(メドベージェフ)に先にブレークされてから、僕はなんとかサービスのクオリティを取り戻すことができた。彼のサービスは本当に良かったと感じていたからね。第1セットでは(タフな状況の中で)道を見出せたよ。
第2セットは彼がラリーで優位に立とうとしていると感じたから、僕はそれに頑張ってついていこうとした。ファイナルセットでは僕が少しステップアップしようと試みた。多くのブレークポイントを逃したが、最終的にはそれをものにできたからとても満足している。もちろん試合を終えるにはメンタルの部分で本当にきつかったけど、今日の自分の試合運びにはとても満足しているし、またタイトルを獲得できてとてもうれしいよ」
今週は休む間もなく「ロレックス・パリ・マスターズ」(10月30日~11月5日/フランス・パリ/インドアハード/ATP1000)に第4シードで参戦するシナー。ぜひともこの勢いでマスターズ2勝目を期待したいところだ。
文●中村光佑
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