現在ツアーを離れている男子テニス元世界13位のニック・キリオス(オーストラリア)が、イギリスの著名ジャーナリストであるピアース・モーガン氏(58歳)が司会を務めるテレビ番組『Piers Morgan Uncensored』に出演。そのなかでメンタルヘルスに異常をきたしていた過去を振り返り、「自傷行為の依存症に陥っていた」と告白した。
かねてから精神的に不安定な状態に陥った経験があることを公にしているキリオス。2019年のウインブルドン終了後には「自殺を考えていた」といい、「正直に言えば真っ暗な状況だった」と当時を回顧する。幾度となく自傷行為にも走ったというキリオスは、その時の苦悩をこう打ち明けた。
「19年も大会で優勝はしたけど、酒は毎晩飲んでいたし、腕に火を付けたり、快楽を得るために自分の身体を切ったりと自傷行為もしていた。次第に自傷行為の依存症に陥っていった。自分自身を嫌っていたし、朝起きて"ニック・キリオス"であることが嫌だった」
そんなキリオスに救いの手を差し伸べたのがプライベートでも親交が深い元世界1位のアンディ・マリー(イギリス/現42位)だった。海外メディア『UBITENNIS』によれば、マリーは4年前のある日、一緒に練習をしたキリオスの手首の傷に気付いたのだという。「ツアーデビュー以来ずっと気にかけてくれていて、独自路線を走る自分を優しく受け入れてくれた」マリーに対し、キリオスは次のように感謝の気持ちを述べた。
「彼は俺の手首の傷を見て、『その傷は何だ?』と聞いてくれた。その時の自分は精神状態が相当ひどかった。アンディは明らかに俺にアドバイスをしようとしていた。当時の俺は、自分のやり方に固執していて耳を傾けようとはしていなかったけど、もちろん俺は彼に本当に感謝しているよ」
今季は度重なるケガで1試合しかプレーできなかったキリオスは、「自分のメンタルヘルスの戦いについて公然と語ることで他の人々を助けたいと願っている」と新たな願望を語る。昨年2月にSNSを通じて自身の暗い過去をオープンにしてから「多くの人が自分に共感してくれている」ことを踏まえ、「これからも自分が苦しむ人たちの助けになれれば」と話した。
「俺は苦しむ人々にとって、灯台のような存在になれたらと思う。彼らがどうしようもなくなり、酒や薬物などに手を出しそうになった時、彼らは俺に共感できると感じてくれているみたいだ。それは俺のキャリアで最も印象強い経験になった。今でも俺はインスタグラムのダイレクトメッセージや、自傷行為をする写真を送ってくる人たちに、真剣に自殺を考えている人たちとの会話をすることがある。そういった行動が彼らへの変化をもたらしていることを本当に誇りに思っている」
人生への希望を失いかけた経験があるからこそ、キリオスの言葉は重く響く。「つらい時は1人で抱え込まずに吐き出してほしい」というメッセージも含まれているのだろう。
文●中村光佑
【PHOTO】有明に世界レベルのテニスがやって来た! 2022楽天ジャパン・オープンでのキリオスらのプレー
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かねてから精神的に不安定な状態に陥った経験があることを公にしているキリオス。2019年のウインブルドン終了後には「自殺を考えていた」といい、「正直に言えば真っ暗な状況だった」と当時を回顧する。幾度となく自傷行為にも走ったというキリオスは、その時の苦悩をこう打ち明けた。
「19年も大会で優勝はしたけど、酒は毎晩飲んでいたし、腕に火を付けたり、快楽を得るために自分の身体を切ったりと自傷行為もしていた。次第に自傷行為の依存症に陥っていった。自分自身を嫌っていたし、朝起きて"ニック・キリオス"であることが嫌だった」
そんなキリオスに救いの手を差し伸べたのがプライベートでも親交が深い元世界1位のアンディ・マリー(イギリス/現42位)だった。海外メディア『UBITENNIS』によれば、マリーは4年前のある日、一緒に練習をしたキリオスの手首の傷に気付いたのだという。「ツアーデビュー以来ずっと気にかけてくれていて、独自路線を走る自分を優しく受け入れてくれた」マリーに対し、キリオスは次のように感謝の気持ちを述べた。
「彼は俺の手首の傷を見て、『その傷は何だ?』と聞いてくれた。その時の自分は精神状態が相当ひどかった。アンディは明らかに俺にアドバイスをしようとしていた。当時の俺は、自分のやり方に固執していて耳を傾けようとはしていなかったけど、もちろん俺は彼に本当に感謝しているよ」
今季は度重なるケガで1試合しかプレーできなかったキリオスは、「自分のメンタルヘルスの戦いについて公然と語ることで他の人々を助けたいと願っている」と新たな願望を語る。昨年2月にSNSを通じて自身の暗い過去をオープンにしてから「多くの人が自分に共感してくれている」ことを踏まえ、「これからも自分が苦しむ人たちの助けになれれば」と話した。
「俺は苦しむ人々にとって、灯台のような存在になれたらと思う。彼らがどうしようもなくなり、酒や薬物などに手を出しそうになった時、彼らは俺に共感できると感じてくれているみたいだ。それは俺のキャリアで最も印象強い経験になった。今でも俺はインスタグラムのダイレクトメッセージや、自傷行為をする写真を送ってくる人たちに、真剣に自殺を考えている人たちとの会話をすることがある。そういった行動が彼らへの変化をもたらしていることを本当に誇りに思っている」
人生への希望を失いかけた経験があるからこそ、キリオスの言葉は重く響く。「つらい時は1人で抱え込まずに吐き出してほしい」というメッセージも含まれているのだろう。
文●中村光佑
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