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海外テニス

「楽しめていない」早期敗退が続く元王者マリーが苦悩を明かす「良くなる兆候はあったが続かない」<SMASH>

中村光佑

2023.10.31

デミノーに第3セットの5-2から挽回されたマリー。試合が終わった直後、怒りが抑えきれずラケットを破壊した。(C)Getty Images

デミノーに第3セットの5-2から挽回されたマリー。試合が終わった直後、怒りが抑えきれずラケットを破壊した。(C)Getty Images

 現在開催中の男子テニスツアー「ロレックス・パリ・マスターズ」(10月30日~11月5日/フランス・パリ/インドアハード/ATP1000)で初戦敗退を喫した元世界ランク1位のアンディ・マリー(イギリス/現40位)が1回戦後の記者会見に登場。そのなかで「今はあまりテニスを楽しめていない」と苦しい現状を明かした。

 今季は2月のカタール・オープン(カタール・ドーハ/ハードコート/ATP250)で決勝進出を果たし、チャレンジャー(下部大会)でも3勝を挙げている36歳のマリー。ところがここ最近は早期敗退が目立っており、6月の下部大会「ノッティンガム・チャレンジャー」(イギリス・ノッティンガム/芝)で優勝を果たして以降はベスト8以上に入った大会は1つもない。

 今週ノーシードで出場したパリ大会でも現地30日に実施された1回戦で第13シードのアレックス・デミノー(オーストラリア/13位)に6-7(5)、6-4、5-7のフルセットで敗退。これでデミノーには6戦全敗となり、またしても天敵に行く手を阻まれる格好となってしまった。試合終了と同時に怒りのあまりラケットを破壊したマリーは会見で開口一番「悔しいね」とコメント。続けて現在抱えている苦悩を次のように率直に吐露した。

「コート上で抱いている気持ちやプレーについて話すとすれば、(全体的に)楽しめていないと認めざるを得ない。ここ5、6カ月は全く楽しくなかった。こんな感じでゲームをプレーし続けるのはあまりいいことじゃないから、楽しみを取り戻そうとする必要がある」
 
 今シーズンの自身の成績にもあまり満足していないというマリーはさらにこう続けた。

「今季の大部分は、自分の試合で良い気分になることが全くなかった。進歩があること、特定の目標に近づいていることを実感したいのに、(現状は)長らくそう感じることができていない。夏の北米ハードシリーズでは状況が良くなりそうな小さな兆候はいくつかあったが、持続可能で永続的なものにはならなかった。トレーニングでも気分が良くない時が多い。フラストレーションがかなりたまっていて、それを試合にも引きずっている」

 臀部の深刻なケガから見事な復活劇を見せてきた“不屈の男”も精神的にかなり落ち込んでいるようで、「練習で非常に良いプレーができることがあっても、それが必ずしも試合に反映されるわけではないが、自分が“ある地点”に近づいている感じがする」と改めて苦しい胸の内を吐露したマリー。「少なくとも自分にチャンスを与えるためには、多くの努力が必要だ。(自分に)厳しく、継続的にやっていく必要がある」と前向きな言葉を絞り出すのも精一杯といった様子だった。

 なお現時点でマリーは来月下旬にスペイン・マラガで開かれる「デビスカップファイナルズ・ファイナル8」(11月21日~26日/インドアハードコート)への出場を予定している。そこまでに何とか気持ちを切り替えてもらいたいものだ。

文●中村光佑

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