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「痛みなく歩けない」と故障に苦しむキリオスが早期引退を示唆!「1、2年は頑張れるけど、それで終わりだ」<SMASH>

中村光佑

2023.12.14

3回の手術を受けても完治しない現状に、疲れ果てたとこぼすキリオス。「もうプレーしたくない」と心境を語った。(C)Getty Images

 類まれなテニスセンスと歯に衣着せぬ物言いで世界中のファンを魅了してきた男子テニス元世界13位のニック・キリオス(オーストラリア/28歳)。重度のうつ病を乗り越えた彼は昨年7月のウインブルドンで初の四大大会シングルス決勝進出を果たすなど素晴らしい活躍を見せていたが、10月の「ジャパン・オープン」(日本・東京/ATP500)準々決勝を棄権して以降は度重なる故障に悩まされている。

 2023年シーズンに公式戦でプレーしたのは6月に行なわれた「ボス・オープン」(ドイツ・シュツットガルト/ATP250)の1回戦のみ。その後は再びツアーを離脱し、10月中旬には世界ランキングも消滅。12月9日には自身の有料ソーシャルメディアプラットフォーム「Onlyfans」を通じ、来年1月に母国で開催されるシーズン最初の四大大会「全豪オープン」(1月14日~28日/オーストラリア・メルボルン/ハードコート)の欠場を正式に発表した。

 そうした中で先日イギリス系インド人のベストセラー作家、ジェイ・シェティ氏(36歳)が司会を務めるポッドキャスト『On Purpose with Jay Shetty』に出演したキリオスは、明るい光が全く見えてこない現状がとにかくつらいと、率直に苦しい胸の内を吐露した。

「正直に言うともうプレーしたくない。何とか(自分を奮い立たせて)プレーを続けないといけないという感じだ。もっとやるべきことはたくさんあるけど、俺としてはもうプレーしたくない」

 そういう考えに至ってしまう理由の1つに、フィジカル面での不安が大きすぎると説明。一時は回復傾向にあるとされていたヒザのケガもまだ完治していないようで、いよいよ日常生活にも支障が出てきているとも明かす。
 
「俺は疲れ果てている。もう3回も手術を受けた。俺はまだ28歳だけど、(早く)家族を持ち、もう苦しみを味わいたくない、といつも思っていた。立ち上がってから、痛みなく歩くことができない。大変だよ」

 やはり苦境を乗り越える力はもう残っていないのか、改めてキリオスは「あと1、2年くらいはトップレベルでプレーして、その後は自分の好きなようにしたい」と強調。「もう一度手術なんか受けるのは嫌だね」とした上で、以前から口にしてきた"近い将来での現役引退"を再び示唆した。

「まだ1、2年は頑張れる力はあると思うけど、それで終わりだ。自分が達成してきたこと全てに満足していると思う。そして、もっとプレーしてほしいと思っている世界中の人々には、こう伝えなければならないだろう。『これ以上俺がプレーしなくても大丈夫だ』ってね」

 またコートに立つ姿を見たいと言うのが憚れるほど、キリオスが希望を失いかけているのが伝わってくる。今は心身ともに穏やかではいられないかもしれないが、こういう時こそ彼を気遣う周囲のサポートを頼ってほしいものだ。

文●中村光佑

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